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【世界自転車レース紀行】(23)イギリス 泥まみれ楽しむシクロクロス

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【世界自転車レース紀行】(23)イギリス 泥まみれ楽しむシクロクロス

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多くの観客に見守られながら迎えたシクロクロス女子のスタート=2014年11月29日、イギリス・首都ロンドン郊外(田中苑子さん撮影)  10月から2月にかけてのヨーロッパの寒いオフシーズンに開催される自転車競技がある。「シクロクロス」だ。フランスでロードレース選手たちのオフシーズンのトレーニングとして発祥、100年以上もの長い期間、ヨーロッパを中心に愛されている競技で、泥や雪に覆われたオフロードを使って開催される。

 現在、競技の中心はベルギーであり、日本の九州ほどの小さな国ながら、シーズン中は毎週末どこかで国際大会が開催され、それらは全てテレビ中継される人気ぶりだ。

 また、トップ選手の多くはベルギー人。しかし近年、競技のグローバル化が進み、アメリカやオーストラリアなどヨーロッパ外からの強豪選手も増えてきており、日本でも冬になるとたくさんの愛好家たちが泥まみれになって競技を楽しんでいる。

 そして、今シーズンは久しぶりにイギリスで国際自転車競技連合の主催するシクロクロスのワールドカップが開催された。

 会場となったのは、ロンドン郊外の北部に位置するミルトンキーンス。毎年、ナショナルレースが開催されていたサーキットだが、国際大会を招致するのは初めてのこと。大会前は参加する選手からは「どんな大会になるのだろう?」という声が聞かれていたが、蓋を開けてみれば、穏やかな天候にも恵まれ、たくさんの自転車ファンが集まる素晴らしい雰囲気の中で、エキサイティングなレースが展開された。

 ≪競技躍進と生活改革が人気底上げ≫

 2012年にロンドン五輪が開催されたイギリスは、近年急速に自転車競技の人気が高まった。10年にイギリスに設立されたイギリスのテレビ局がメーンスポンサーを務めるロードレースチーム、「チームスカイ」は、5年以内にチームからツール・ド・フランス覇者を輩出することを目標に活動を始めたが、設立から3年目に当たる12年にブラッドリー・ウィギンスが優勝し、その翌年も同じチームのクリス・フルームが優勝した。

 そしてロンドン五輪では、自転車競技全体で12個ものメダルを獲得し、瞬く間に世界屈指の強豪国となった。もちろん今回、イギリスでシクロクロスのワールドカップが開催された背景にも、世界選手権で表彰台に乗るような強豪イギリス人選手の存在と、その人気がある。

 また、ロンドン五輪とときを同じくしてロンドン市民にも自転車愛好者が増えた。市内の慢性的な渋滞が社会問題となっていたロンドンだが、現在は世界的屈指の自転車都市として知られている。かつては、欧州諸国の中でも自転車活用が進んでいなかったといわれているが、一般車が市内に入るときに発生する「渋滞税」を導入したり、30分以内なら無料で使用できるレンタサイクルシステムや、安全に走りやすいよう車道に自転車レーンを設置するなど、大々的な行政主導の改革が行われた。

 そして市民の間で高まる健康意識や競技そのものの人気が、より一層ロンドンの自転車活用を後押しし、今や街を歩いていると次から次へと自転車が駆け抜けていく。(写真・文:フリーランスカメラマン 田中苑子(そのこ)/SANKEI EXPRESS

 ■たなか・そのこ 1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。08年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかな自転車レースを追っかけ中。

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