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国際
スペイン語人口 米「世界一」 35年後見通し 1.3億人超に
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大勢が振りかざすスペイン国旗。米国のスペイン語人口は、本国を抜き世界2位に。35年後には世界一が確実視されている=2010年7月11日、スペイン・カタルーニャ自治州バルセロナ(AP) 不動産王、ドナルド・トランプ氏(69)によるメキシコ人に対する“暴言”が物議を醸している米国。その米国で、中南米(ヒスパニック)系住民のようにスペイン語を話す人口が、本国・スペインを抜き、世界2位となっていることが7日、スペイン学術機関の調査で分かった。人口増加率などを勘案すると、35年後の2050年には世界1位になる見通しという。
トランプ氏は、16年の大統領選の共和党候補を決める予備選に名乗りを上げているが、国内外の情勢を知ってか知らずか繰り返す騒ぎの数々が、自らの立場をどんどん悪化させている。
調査を行ったのは、スペインに本部がある名門非営利学術機関「セルバンテス文化センター」。英紙ガーディアンや米CNNテレビ(いずれも電子版)によると、米国勢調査局や他国のデータなどを元に調査結果(報告書)をまとめた。
それによると、米でスペイン語が話せるのは計約5260万人。このうち約4100万人が母国語、残る約1160万人が英語とスペイン語の両方を話せるバイリンガルだ。
2014年のスペイン総人口は4770万人なので、米のスペイン語人口が本国を約500万人上回ったことになる。現在、スペイン語人口世界1位のメキシコ総人口は1億2200万人。だが、米国内でのヒスパニック系住民の人口増加率などを加味してスペイン語人口を予測すると、35年後の50年には、現在の2.5倍に当たる約1億3000万人以上になる見通しで、「世界一」が確実視されている。
今回の報告書を州別でみると、古くからスペイン人が入植し、伝統的に中南米系が多いニューメキシコ州が1位で47%。続いてメキシコに隣接するカリフォルニア州とテキサス州がともに38%で同率2位。意外にも、ニューヨーカーの18%、アラスカ州民の6%がスペイン語を話すことが明らかになり、欧米の関係者を驚かせた。
さらに、インターネットで使われる言語をみても、スペイン語は全体の約8%で、中国語、英語に次ぐ3位。フェイスブックやツイッターといった交流サイト(SNS)では英語に次いで2位と、高い存在感を示している。
こうした世界的な状況の中、トランプ氏は6月16日の予備選出馬表明演説で「メキシコ人は米に麻薬や犯罪を持ち込み、レイプ魔でもある」などと“暴言”を吐き、中南米系住民向けのスペイン語放送局が、トランプ氏が事実上主催するミスコンテストの放送中止を決定。NBCテレビも絶縁を宣言するなど、大きな非難が巻き起こった。
しかし、トランプ氏は全く懲りず、今度は攻撃の矛先を共和党候補予備選に立候補したジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(62)のメキシコ人妻、コルンバさん(61)に向けた。
トランプ氏は4日、ツイッターで「ジェブ・ブッシュは妻がメキシコ人なんだから、メキシコからの不法移民を好きになるべきだ」との第三者の投稿をリツイート。これが非難を浴びると6日、急遽(きゅうきょ)このリツイートを削除し、再び全米をあきれさせた。
このリツイート事件を受け、ブッシュ氏は5日、ニューハンプシャー州で記者団に「私は彼が共和党を代表する存在だとは思わないし、彼の見解は大多数の共和党員の中心的な考えから外れている」と非難した。
大統領を目指すのであれば、トランプ氏はまず、“暴言”で注目を集めるのではなく、米国内のリアルな現状を学ぶことが先決だろう。(SANKEI EXPRESS)