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【Q&A】米越首脳会談 中国牽制で接近 「南シナ海」懸念共有

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【Q&A】米越首脳会談 中国牽制で接近 「南シナ海」懸念共有

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7月7日、ホワイトハウスでバラク・オバマ大統領(右)と会談するベトナムのグエン・フー・チョン共産党書記長=2015年、米国・首都ワシントン(国営ベトナム通信=共同)  ベトナムの最高指導者、グエン・フー・チョン共産党書記長がベトナム戦争後、最高指導者として初めて訪米、オバマ大統領と7日に会談した。

 Q 両国の関係は?

 A 1954年のジュネーブ協定で南北に分断されたベトナムが互いに戦ったベトナム戦争は、米国が65年2月、北爆を開始して本格的な戦争に突入した。米軍が散布した枯れ葉剤も深刻な問題となった。

 75年には南ベトナムが全面降伏し戦争は終結、米国とベトナムの国交は、冷戦終結後の95年に正常化した。2007年には、グエン・ミン・チェット国家主席(当時)が国家元首としては戦争後初の公式訪問をしたけど、最高指導者の訪米は実現していなかった。

 Q なぜ訪米したの?

 A 海洋進出を強める中国の動きを牽制(けんせい)する狙いがある。ベトナムにとって中国は最大の貿易相手国だけど、南シナ海の領有権をめぐり対立している。中国が昨年、パラセル(中国名・西沙)諸島付近で石油掘削を実施し、緊張が高まった。

 米国側も、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島で一方的に岩礁を埋め立てて施設建設を進める中国を警戒している。オバマ氏とチョン氏は会談で中国に対する懸念を共有した。

 Q 他の議題は?

 A 両首脳は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉妥結に向けて緊密に協力することでも一致した。ベトナムはTPPを通じて、主要産業の一つである繊維業の米市場への大規模参入を期待している。経済面での中国依存を解消する狙いだ。

 Q オバマ氏は外交に積極的だね

 A 大統領の任期が17年1月に迫り、冷戦期から続く外交課題に区切りをつけて成果を残したいと考えているんだ。核戦争の瀬戸際に至ったといわれたキューバとは59年ぶりに国交回復合意までこぎ着けた。チョン氏の訪米実現も成果の一つとしたい考えだ。

 Q 米国側はベトナムを訪問していないの?

 A クリントン元大統領が戦争後初めて2000年に公式訪問した。ブッシュ前大統領も在任中に訪問していて、オバマ氏も年内に訪れるとの見通しがあるよ。

 Q 両国間の課題は?

 A ベトナムは共産党による一党独裁体制で、国内の人権問題への懸念があり、オバマ政権は改善を求めていく考えだ。一方、米軍が戦争中に散布した約8000万リットルの枯れ葉剤によるとみられる健康被害はベトナムで根深い問題として残っている。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪枯れ葉剤被害 重い負の遺産≫

 ベトナム最高指導者の訪米で緊密化がクローズアップされる両国関係には、40年前に終結したベトナム戦争の負の遺産が重くのしかかっている。特に大きな問題は、米軍の枯れ葉剤散布による健康被害。米政府はベトナム人の健康被害をめぐる法的責任を今も認めていない。

 グエン・フー・チョン共産党書記長の訪米について、ベトナム枯れ葉剤被害者協会の幹部、クアック・タイン・ビン氏は「2国間関係に新しい一章を開く」と評価しながらも、「(この機会に)米政府や枯れ葉剤を製造した米企業が(被害を)真に認識し責任を取ることを希望する」と述べた。

 戦争中、米軍が散布した枯れ葉剤によるとみられる健康被害者は、約300万人に上るとされる。米政府はベトナムでの枯れ葉剤で汚染された土壌の除染に資金を拠出しているが、ベトナム人の健康被害については「枯れ葉剤との因果関係が証明されていない」との立場だ。

 ベトナムの被害者は、枯れ葉剤を製造した米企業に対し損害賠償を求める訴えを2004年に米裁判所に起こしたが、退けられた。(共同/SANKEI EXPRESS

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