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富士山クラス 冥王星に氷の山脈 NASA「今も成長している可能性」

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富士山クラス 冥王星に氷の山脈 NASA「今も成長している可能性」

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探査機ニューホライズンズが7月14日に撮影した冥王星の地表。高さ約3500メートルもの山々(中央)が集まり、近くにクレーターのない平地が広がっている(左下のスケールは約80キロ、NASA提供・共同)  日本の名峰・富士山並みの約3500メートルの氷でできた山々がくっきり-。米航空宇宙局(NASA)が15日公表した無人探査機ニューホライズンズが撮影した画像に、研究者も「本当に壮観な山脈だ」と驚嘆。隕石(いんせき)の衝突によりできるクレーターが少ないのは、1億年前より新しい時期の地殻活動に平らになったとの見方もあり、NASAは「地質活動が続いている可能性がある」とする。今後16カ月かけて地球に送信される観測データが、多くの謎の解明や発見につながるものと、今から期待が高まっている。

 メタンなどでは形成不可能

 公表されたのは、ニューホライズンズが冥王星に最接近する1時間半前に、7万7000キロの距離から撮影した画像。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)やフランス通信(AFP)などによると、撮影された山脈は想像以上に険しい地形で、岩ではなく氷でできているという。

 この計画に携わる、米サウスウエスト研究所(コロラド州)のジョン・スペンサー氏は、撮影された画像を見て「本当に壮観な山脈だ」と、記者団に感想を漏した。

 さらに、山脈が氷でできている根拠を解説。冥王星の地表には、豊富な窒素や凍ったメタン、一酸化炭素が広がっており、「これらで創生される物質は柔らかいので、岩の山脈を形成するのは不可能だ。氷でしか形成されない」と断言する。

 多くの科学者は、太陽系の一部の星が険しい地形になるのは、隣接する巨大惑星の力の影響を受けるからだと考えている。しかし、冥王星の近くに巨大な惑星はないため、NASAは、この山脈が今も活動して、成長している可能性があるとみている。

 地表、1億年前平らに

 地表にクレーターがほとんどないことについてNASAは、太陽系の創生が約45億年前であることなどを考慮した上で画像を分析。地表は約1億年前の地殻活動により、過去のクレーターが埋まって平らになったと推測している。

 同時公開した衛星カロンの画像では、約1000キロにわたり地表を横切る断崖が確認できたほか、やはり表面にクレーターが少なく、冥王星と同じく地質活動が続いている可能性があるという。

 ニューホライズンズは2006年1月に打ち上げられ、14日に冥王星に再接近。上空約1万2500キロを音速の40倍に当たる秒速14キロ(時速5万キロ)もの猛スピードで通過し、さまざまなデータを観測した。すでに冥王星からは猛スピードで離れており、今後、太陽系の外縁部「カイパーベルト」の領域探査などに挑む。

 「ハート」にトンボー氏の名

 NASAは、最接近直前に撮影した画像で確認できた白いハート形の地形を、1930年に冥王星を発見した米天文学者、クライド・トンボー氏(1906~97年)にちなみ「トンボー・レジオ」と名付けた、と発表した。(SANKEI EXPRESS

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