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子供と迷い込む絵巻物の世界 片桐はいり、スズキ拓朗 舞台「おどるマンガ 『鳥獣戯画』」

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子供と迷い込む絵巻物の世界 片桐はいり、スズキ拓朗 舞台「おどるマンガ 『鳥獣戯画』」

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鳥獣戯画には「動物たちが相撲をとる場面がある」と再現してみせる片桐はいりさん(左)とスズキ拓朗さん=2015年7月16日、東京都世田谷区(野村成次撮影)  「日本最古の漫画」とされ、東京と京都で開かれた特別展が大評判だった「鳥獣戯画」が、歌あり踊りありの舞台になる。片桐はいり(52)を主演に迎え、振付家でダンサーのスズキ拓朗(30)が構成と演出を担当。心に寂しさを抱える小学校教師(片桐)が、いなくなった生徒を探して絵巻物の世界に迷い込む。2人は「21世紀の鳥獣戯画にしたい」と意気込む。

 分からないから面白い

 舞台「おどるマンガ 『鳥獣戯画』」は東京・世田谷パブリックシアターによる親子向けプログラムの一環。人気ダンスカンパニー「コンドルズ」に所属、自身の劇団では絵本をダンスにするなどの活動を行ってきたスズキが鳥獣戯画を題材とした。片桐が演じる紙上(しがみ)マキは親がなく、独りぼっちの子供時代を経て教師になった。生徒たちや動物たちとの交流で、心の豊かさを取り戻していく。事前のワークショップで選ばれた子供たちや当日、観劇する子供たちの一部も出演する。

 「鳥獣戯画」は京都市にある高山寺に伝わる国宝の絵巻物で、ウサギやカエルといった動物たちをユーモラスに擬人化した「甲巻」の人気が高い。平安時代から鎌倉時代の12~13世紀ごろに描かれたという作品を修復。昨年から今年にかけて京都と東京の国立博物館で公開され、両方で約44万人を動員した。

 スズキは東京の展覧会を4時間並んで見たという。その魅力を「誰が何の目的で描いたのか、よく分からないから面白い。大人も子供も見て楽しい」とみる。動物たちは言葉を語らないぶん、「生き生きしている瞬間の切り取り方が絶妙」と片桐は驚く。

 特別なストーリーはなく作者も不詳。スズキはそこを逆手にとり、自由な発想でファンタジーに仕立てた。「動物たちは、自分がなぜ描かれたのか分からない。親がいないマキも境遇は同じで、一緒に絵巻物の上を歩きながら自分探しをする。作者も何らかの姿で登場して絡む。童話『不思議の国のアリス』と『オズの魔法使い』をあわせた感じかな」。スズキ自らも出演、動物たちは主宰する劇団のメンバーらが演じる。

 表現伸ばす「種植え」

 不思議な展開には「自由で枠にはまらない子供の発想を伸ばしたい」との願いもある。その点「私は先生役にぴったり」と片桐。小学生の頃、授業で描いた突拍子もない絵に先生から全く違う批評をされて反抗、「子供は決めつけられたくないもの」と振り返る。

 片桐はNHKのEテレで小学生向け道徳番組も担当。子供の本音を映し出す世界は根強い人気があり、今回の舞台はその延長線上ともなる。「『よく分からなかったけど、変な人がいっぱい出てきて怖かった』という、『不思議で変なもの』の方が表現は豊かで、見た記憶は後々まで残る。大人になって何かを作りたい時、その記憶がヒントになればという『種植え』の気持ちです」

 この数年は身体的な表現に積極的に取り組み、今回は独特の存在感がダンスと融合する。「50歳を過ぎて、動きのあるものをやれる時間が限られてきた。せりふがある演劇より勝手に想像できる点で面白い。見る人の心に何か『爪痕』が残せればうれしい」(文:藤沢志穂子/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS

 【ガイド】

 8月5日から9日まで東京・世田谷パブリックシアター。問い合わせはチケットセンター(電)03・5432・1515。

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