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福島事故 東電元会長ら強制起訴へ 検審再議決「原発事業者は津波対策不可欠」

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福島事故 東電元会長ら強制起訴へ 検審再議決「原発事業者は津波対策不可欠」

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東京電力福島第1原発事故をめぐり、旧経営陣3人の強制起訴が決定し、垂れ幕を掲げる「福島原発告訴団」の弁護士ら=2015年7月31日、東京地裁前(共同)  東京電力福島第1原発事故をめぐり告訴・告発され、東京地検が2度不起訴処分にした勝俣恒久元東電会長(75)ら旧経営陣3人について、東京第5検察審査会は起訴すべきだとする2度目の議決をし、31日公表した。今後、東京地裁が指定する検察官役の弁護士が業務上過失致死傷罪で強制起訴する。

 東日本大震災で発生した巨大津波による事故から4年余り。市民は「万が一の災害にも備える高い注意義務を負う」と判断し、元電力会社トップらの刑事責任が公開の法廷で審理されることになった。

 議決は17日付。ほかに起訴されるのは、武藤栄元副社長(65)と武黒一郎元フェロー(69)。

 議決は「ひとたび重大事故が発生すると被害は甚大で、原発事業者は事故につながる津波が万が一にも発生する場合があることを考慮し、備えなければならない」と指摘した。

 その上で、勝俣元会長ら3人は「遅くとも2009年6月までに津波の高さが約15.7メートルになるとの試算結果の報告を受けていた」とし、大津波を予測できたと判断。浸水被害を避けるための対策を検討する間、運転を停止していれば事故は回避できたと結論付けた。

 さらに東電の経営体質を「安全対策よりもコストを優先する判断をしていた感が否めない」と批判した。

 事故による被害者について第5検審は、原子炉建屋爆発した際に負傷した東電関係者や自衛隊員計13人のほか、避難中に衰弱死した双葉病院(福島県大熊町)の入院患者44人と判断。心的外傷後ストレス障害を発症した住民らは「事故との因果関係を認めるのは困難」とした。

 「福島原発告訴団」などが12年、政府首脳や東電経営陣らを告訴・告発。東京地検は13年9月、過失責任はないとして菅直人(かん・なおと)元首相ら42人を一括して不起訴とした。

 告訴団はこのうち6人に絞って審査を申し立て、第5検審は昨年7月の1度目の議決で、勝俣元会長ら3人を起訴相当と判断。再捜査した地検は今年1月、再び不起訴とし、第5検審が再び審査していた。

 ≪「想定外」言い訳許されぬ 市民感覚示す≫

 東京電力福島第1原発事故を防げなかった東電の元トップらを強制起訴すべきだとした検察審査会の議決は、いったん事故が起きると取り返しのつかない事態を招く原発の安全対策で「想定外」を言い訳にすることは許されないという市民感覚を示した。東京地検の「無制限の安全対策は不可能で、発生確率が著しく低いために考慮しなくともよい危険性がある」との判断を否定し、“理念”に重きを置く検審と“現実”を重視する検察-という従来の構図が再び描かれた格好だ。

 ただ、強制起訴の有罪率は検察官による通常の起訴に比べ低い上、多くの人が死傷した大型の過失事件では無罪が相次いでいる。事故当初から多くの専門家が「自然災害に伴う事故で個人の刑事責任を問うのは困難」との見方を示してきた中、裁判所がどのような判断を下すのかに注目が集まっている。

 過去に強制起訴された事例は8件。ただ、有罪となったのはうち2件のみだ。さらに兵庫県明石市の歩道橋事故や尼崎市のJR脱線事故などの過失事件では無罪や免訴が相次いでいる。

 強制起訴で無罪が相次ぐ理由は、起訴の基準が、プロである検察官と、一般国民からなる検審とで異なるためだ。検察官は「高度の有罪が見込まれる場合」にのみ起訴するため、日本では99%ともいわれる高い有罪率が維持されている。一方、検審は「少しでも有罪の可能性があれば起訴して裁判で判断されるべきだ」と考える傾向がある。また「刑事裁判でこそ真相解明がなされる」との一般的な考え方も、起訴議決の背景にあるとみられる。(SANKEI EXPRESS

 ■強制起訴 検察官が起訴しなかった容疑者を、検察審査会の議決に基づき、裁判所指定の弁護士が検察官役となって起訴する制度。有権者からくじで選ばれた検審の審査員11人のうち8人以上で「起訴相当」を議決し、検察が再捜査しても起訴しない場合、検審が再び8人以上の多数決で「起訴をすべきだ」と議決すれば強制的に起訴される。民意を反映させる司法制度改革の一環として2009年5月に裁判員制度とともに導入された。

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