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11億円流用の疑い 一部は家賃に 業務上横領 マウントゴックス代表再逮捕へ

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11億円流用の疑い 一部は家賃に 業務上横領 マウントゴックス代表再逮捕へ

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送検のため、ビットコイン取引所運営会社の代表のマルク・カルプレス容疑者を乗せて万世橋警察署を出る警察車両=2015年8月2日、東京都千代田区(早坂洋祐撮影)  仮想通貨ビットコインの取引所マウントゴックスで巨額のコインが消失した事件で、運営会社「MTGOX」(破産手続き中)が顧客の資金などを管理していた銀行口座から、約11億円が関連会社などに送金、流用された疑いがあることが2日、捜査関係者への取材で分かった。

 MTGOX代表取締役のマルク・カルプレス容疑者(30)(私電磁的記録不正作出・同供用容疑で逮捕)が、運転資金に回したり私的に使ったりしていた可能性があり、警視庁は裏付けの取れた分について、業務上横領の疑いで再逮捕する方針。

 警視庁は2日、カルプレス容疑者を送検した。「納得できない」と容疑を否認している。

 警視庁によると、MTGOX名義の銀行口座では、顧客からの預かり金や同社の運転資金などが一括で管理されていた。

 捜査関係者によると、この口座を管理していたカルプレス容疑者は、自身が経営する複数の関連会社などに約11億円を送金。一部は、カルプレス容疑者の自宅だった高級マンションの賃料支払いなどに充てられていたとみられ、私的流用の疑いがあるという。

 MTGOXをめぐっては、管理していた約65万BTC(ビットコインの単位、2日現在で約225億円相当)と約28億円の預かり金が消失したことが明らかになっている。警視庁は、資金の流用や取引システムの不正操作などが破綻の原因となったとみて調べている。

 ≪「唯一故に最悪の取引所」≫

 「1BTC=700ドル」「1BTC=650ドル」…。2014年2月、貿易業で中国籍の湯順平氏(43)は、東京都内の事務所に置かれたパソコンの画面上で、急降下を続けるマウントゴックスのビットコインの価格チャートを半ば呆然(ぼうぜん)としながら見つめていた。

 湯氏は日本で仕入れた腕時計などのブランド品を中国に通販サイトで販売する社員2人の貿易会社を経営。中国での売り上げの大半をBTCに交換して日本に送信し換金していた。

 だが、マウントゴックスに預けていたBTCは何度手続きをしても引き出せない。預けた額は130BTC。当時の金額で700万~800万円。月の売り上げの7割にあたる金額だ。

 焦った湯氏はマウントゴックスが入る渋谷区のビルまで急行したが、1階にいたビル管理会社の受付の女性が「会社には通せない。要件をメモに書いてください」と言うばかり。「BTCの引き出しが必要なんだ。大事な資金なんだ」と訴えてものれんに腕押し。その月末、マウントゴックスは破綻を公表した。「何があったか説明し、少しでもいいから、早くカネを返してほしい」。湯氏はそう訴える。

 「理想の通貨」に投資集中

 「BTCはインターネット以来の重要な発明だ」。利用者はそう声をそろえる。世界中の利用者が、マウントゴックスを通じて巨額の資金をBTCに交換して投資した。

 米国のIT業界で長年働いてきた日本デジタルマネー協会代表理事の本間善実(よしみつ)氏(47)は13年11月、米国の雑誌のBTC特集を見てその可能性に着目。2カ月後にこの協会を発足させ、数百万円をBTCに投資した。「BTCはあらゆる商取引を変える可能性がある」。理想の通貨だと直感した。

 その熱気を一身に集めたのが、マウントゴックスだった。13年3月期には手数料だけで1億円の売り上げがあった。顧客は12万人超。大半が、BTCの可能性に期待した海外の投資家だった。

 「マウントゴックスは世界でほぼ唯一の取引所だった」と投資家のロジャー・バー氏(36)は指摘する。一方で、こうも言う。「唯一であるが故に、世界最悪の取引所ともいえた」

 本間氏は「今回の事件は、BTCまで破綻したと多くの日本人の誤解を招き、日本でのBTCビジネスの遅れにもつながっている」と話す。

 異例の破産手続き

 いま、マウントゴックスをめぐっては異例の破産手続きが進んでいる。

 「4月22日 第3回債権者集会配付資料」「7月23日 債権者が変動した場合について」…。マウントゴックスのホームページには、債権者への通知が英文と日本語でずらりと並ぶ。その最上段をクリックすると、ネット上で債権者の届け出ができるシステムが作動する。世界中に散らばった債権者の情報を得るため、管財人側は、BTC事業なども手がけるIT関連会社と契約して独自に構築した。

 債権者が確定しても、返済方法は未定だ。債権者の多くはBTCでの返済を望んでいるが、世界的にもBTCでの破産手続きは先例がない。

 「現金とBTCをどのように分けて返済するか。暗号の管理が必要な差し押さえはどうすればいいか。課題は山積みだ」。破産手続きに詳しい三平聡史弁護士はこう指摘した。(SANKEI EXPRESS

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