ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
エンタメ
自分への「特別感」で幸せに 映画「彼は秘密の女ともだち」 アナイス・ドゥムースティエさんインタビュー
更新
「今までの人生で男の子になりたいと思ったことは一度もありません」と語る、女優のアナイス・ドゥムースティエさん=2015年6月25日、東京都千代田区(野村成次撮影) 仏映画の若手実力派として確かな地位を築き、昨今ますます活躍がめざましいアナイス・ドゥムースティエ(27)。先の第68回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門にノミネートされた「Marguerite et Julien(原題)」(英題『Marguerite&Julien』、2015年製作)でも主演を務め、レッドカーペットに花を添えたことは記憶に新しい。そんな彼女の新たな主演映画「彼は秘密の女ともだち」「バードピープル」(いずれも14年製作)が8月と9月に立て続けに日本公開となる。
先日、フランス映画祭のゲスト女優として初来日したドゥムースティエは、名匠、フランソワ・オゾン監督(47)の新作「彼は秘密の女ともだち」のプロモーション活動に力を注いだ。12歳で映画デビューして以来、地道にキャリアを積んできたドゥムースティエは、オゾン監督が手がけた作品に出演することが長年の夢だったといい、「彼は女性にすてきな役を与えてくれるだけではなく、美しく撮ってくれます。だからフランスの女優たちは彼から出演オファーがあると、とても喜ぶわけです。彼が、女性が持つ美しさに対し、飽くなき厳しい追求を続ける人物だからなんでしょうね」と満足そう。本作ではヌードになることも厭(いと)わず、「アラン・ドロンの再来」と呼ばれる夫役のラファエル・ペルソナ(34)を相手に大胆な濡れ場を披露した。
《幼なじみのローラ(イジルド・ル・ベスコ)が病で急逝し、なかなかショックから立ち直れないクレール(ドゥムースティエ)。気持ちに区切りをつけようと、思い切って会社を休んだある日、クレールはふと思い立ってローラの夫、ダヴィッド(ロマン・デュリス)と生後間もない娘の様子を見にローラの自宅を訪ねる。するとそこには、ブロンドのカツラとローラのワンピースを身にまとい、真っ赤な口紅を入念に塗り、すっかり変わり果てた姿で赤ちゃんをあやすダヴィッドの姿があった…》
オゾン監督の映画作りを実際に体験し、ドゥムースティエはどんな感想を持ったのだろう。「映画作りに臨む姿勢は独特なものがありましたね。厳しさと寛大さという一見、相反するものが常に彼の内面に同居していたのです。建物の内装も含め、美全般に対する要求レベルはきわめて高かった。脚本の出来栄えについても、彼が求めたものはきっと作家以上のものだったはずです。それでいて出来上がった映画は誰もが楽しめるおおらかで優しいタッチの仕上がりとなってしまう」。まるでオゾン監督が魔法使いだったとでも言いたげだ。
ダヴィッドのあまりの変貌にすっかり狼狽(ろうばい)してしまったクレール。最初こそ「変態!」と厳しい言葉を吐き捨て拒絶反応を示したものの、「女装趣味」という自分の本当の気持ちに忠実に、世間体に縛られず自由に生きよう-と固く決意したダヴィッドに次第に理解を示し、ついには憧れすら抱くようになる。「この映画の根底には『自由な生き方への誘い』というメッセージが込められており、それは私の大好きな生き方でもあります。私はダヴィッドや、やがては自由な生き方を手にするクレール以上に、自由になりたいと考えています。自分とは何者なのか-と、立ち位置や居場所を模索しながらも、自分の核となる個性も大切にする。いい意味で自分への“特別感”を保つことができれば、私は幸せになれるし、女優としても面白い人間になれると信じています」
それにしても風変わりな物語での主演が続く。「Marguerite et Julien」は兄妹が禁断の恋に落ち、「バードピープル」はホテルの女性従業員が愛らしいスズメに変身してしまう。ラブコメディー「A trois on y va(原題)」(英題『All About Them』、15年製作)は、主人公があるカップルの男女それぞれと恋仲になってしまう…。「『あなたってちょっと風変わりな役が好きなの?』とよく質問されます。たまたま出演しただけなんですけれどね」
もっとも、日本の仏映画ファンにまで奇天烈趣味と勘違いされたくないと思ったようで、ドゥムースティエは特に今年製作された出演作に関してこんな解説を加えた。「いずれも主人公は何らかの自由を得るために戦う女性ばかりでしたよ。『Marguerite et Julien』の主人公は許されない愛を貫くために戦い、自由を勝ち取るわけです」。「彼は秘密の女ともだち」のクレールについてもその延長線上にある魅力的な人物との思いが強く、「一見、穏やかで優しい女性ではあるものの、やはり世間と静かに戦いを繰り広げ、デリケートに進化を遂げていく。私としてはそこが気に入っているんですよね」と声を弾ませた。8月8日、東京・シネスイッチ銀座ほかで全国順次公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS)
※【メディアトリガーplus】マークがある写真にアプリ「メディアトリガーplus」をインストールしたスマホをかざすと、関連する動画を視聴できます(本日の内容は6日間有効です<2015年8月12日まで>)。アプリは「App Store」「Google Playストア」からダウンロードできます(無料)。詳しい使い方はアプリ内の「オプション」→「ヘルプ」をご覧ください。参考記事「メディアトリガーplusを使ってみよう 紙面連動アプリが変わります」