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幸せ奪われ復讐…魂は救済されるか 映画「悪党に粛清を」 マッツ・ミケルセンさんインタビュー
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「この映画は今までにないタイプの西部劇」と紹介するマッツ・ミケルセンさん=2015年5月11日、東京都港区(高橋天地撮影) デンマークの国民的スターで、今やハリウッドでも確たる地位を築いたマッツ・ミケルセン(49)が、愛する者を奪われた男の復讐を描いた米西部劇「悪党に粛清を」(クリスチャン・レヴリング監督)で主演を務め、原題「The Salvation」(魂の救済)の意味を問いかけた。
ミケルセンは「家族思いの平凡な男が、残酷な仕打ちを受けた妻子の無念を晴らすべく同じやり方で復讐を企てますが、闇に取り込まれ、自分もまた残酷な人物に変わっていきます。ささやかな幸せを理不尽に奪い去られたとき、いかに人間性を失わずにいられるか? また、人間性を保つとはどういうことなのか? この映画のテーマをじっくりと考えてもらえればうれしいですね」と期待を寄せた。
1870年代。戦争で荒れ果てた故郷デンマークを離れ、新天地アメリカへと旅立った元兵士のジョン(ミケルセン)。なんとか仕事も軌道に乗った7年後、満を持して妻(エヴァ・グリーン)と一人息子を呼び寄せた。しかし、喜びもつかの間、自宅へと向かう駅馬車で乗り合わせた2人の男に因縁を付けられ、妻子は無残に殺害されてしまう。悲しみと怒りに度を失ったジョンは2人の射殺に及ぶが、その1人はこのあたりを仕切るならず者(ジェフリー・ディーン・モーガン)の弟だった-。
「デンマーク人がなぜ西部劇?」。同じデンマーク人で、脚本も執筆したレヴリング監督から本作への出演を打診されたミケルセンは、不思議に思い、説明を求めた。「もともと米国は欧州の人々がやってきて、土地を開拓し、成立した国なんだ。例えば、デンマーク人、アイルランド人、フランス人、イタリア人など。そういう我々のストーリーを語るチャンスじゃないか」。熱のこもった監督の口説き文句に、ミケルセンは「やりがいのある仕事だと納得できたので、出演を決断しました」と語った。
実は脚本はミケルセンをイメージした当て書きだという。レヴリング監督はミケルセンの中に何を見いだしたのだろう。生き残りをかけたタフでダイナミックなシーンも満載の本作だが、アクロバチックなダンス、バック転、乗馬を楽々とこなしてしまう抜群の運動神経や、思わず物まねをしてしまうほどの大ファンという香港のアクションスター、ブルース・リーに傾ける情熱だけが理由ではなさそうだ。これについては、ミケルセン本人の見立てがユーモアたっぷりで実に面白い。
「この映画は西部劇によく見られる典型的なヒーロー物語ではなく、ごく普通の人が次第にヒーローに変貌していくお話です。スクリーンに登場した途端、いきなりその人物が一匹狼のヒーローとして描かれるというわけではありません。主人公は凡人なんですよ。レヴリング監督は僕の凡人ぽいところに光をあて、なにかを見いだしてくれたんじゃないでしょうか」。6月27日から東京・新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。(高橋天地(たかくに)、写真も/SANKEI EXPRESS)
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