ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
エンタメ
荒野をさまよいたどり着く真実 映画「約束の地」 ヴィゴ・モーテンセンさんに聞く
更新
「厳しい気候条件のせいで、撮影や楽しい時間が妨げられることはありませんでした」と振り返るヴィゴ・モーテンセンさん(提供写真) アルゼンチンのリサンドロ・アロンソ監督(40)が手がけたロードムービー「約束の地」は、南米パタゴニアに広がる神秘的な荒野を舞台に、ただひたすら「考えるな、感じろ」と見る者に言わんばかりの不思議な作風となった。香港が生んだ世界的なアクションスター、ブルース・リー(1940~73年)の「考えるな、感じろ」の精神が作品に染み渡っているのだ。
1882年、パタゴニアにやってきたデンマーク人のディネセン大尉(ヴィゴ・モーテンセン)は、アルゼンチン政府軍が仕掛けた先住民掃討作戦に参加していた。ある日、野営地にいた15歳のまな娘(ビールビョーク・マリン・アガー)が若い男と姿を消してしまう。娘の捜索に乗り出したディネセン大尉はひとり荒野をさまよううちに…。
主演、音楽、製作を担当した米国の名優、モーテンセンはSANKEI EXPRESSのメール取材に応じ、「荒野ではヘビも出たし、高温、強風、凍えるような寒さといった厳しい気象環境にも置かれました。でも、アルゼンチンにいるとくつろいだ気持ちになれます。2歳から11歳まで住んでおり、親しみが湧くのです。私は初めてデンマーク語のせりふを使ったので、それも楽しかったですね」と、本作に抱く並々ならぬ愛情を吐露した。
四隅が丸く、やや正方形に近い、独特なフレームで映像を見せる意図は何だろう。「編集の際、トリミングされていない未加工の状態の映像を見たとき、監督は『それこそが自分の望む表現方法だ』と、インスピレーションが湧いたのだそうです」。監督の表現手法は、モーテンセンに言わせれば「ある瞬間に内在する本質的な真実を探り出し、それを静かに切り取り、蒸留する方法を模索していくスタイル」だという。純度の高い真実を紡ぎ出し、優雅、かつ、独創的に伝えるためにはフレームすら変えなければならなかったのだ。
本作でモーテンセンは自ら作った曲を披露した。「昔から僕はピアノを弾くことが好きでした。実は楽譜は読めないのですが、ピアノで作曲すること自体が好きなんですね。最近関わった映画では、僕はギター演奏を少しだけ学びました。でも、僕としてはピアノを演奏して、ピアノで作曲することが一番合っているかなと思っています」。6月13日から東京・ユーロスペース、7月18日から大阪・テアトル梅田ほかで全国順次公開。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS)
※【メディアトリガーplus】マークがある写真にアプリ「メディアトリガーplus」をインストールしたスマホをかざすと、関連する動画を視聴できます(本日の内容は6日間有効です<2015年6月17日まで>)。アプリは「App Store」「Google Playストア」からダウンロードできます(無料)。詳しい使い方はアプリ内の「オプション」→「ヘルプ」をご覧ください。参考記事「メディアトリガーplusを使ってみよう 紙面連動アプリが変わります」