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アイスランドの次世代アーティスト オブ・モンスターズ・アンド・メン、ソーレイ
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アイスランドで結成されたロックバンド、オブ・モンスターズ・アンド・メン(提供写真)。(C)Meredith_Truax 北大西洋に位置する島国アイスランド。人口わずか30万人程度の小さな国だというのに、ここから天才的なミュージシャンがたくさん生まれている。ビョークとシガー・ロスはカリスマ的な人気を誇っているし、最近ではシンガー・ソングライターのアウスゲイルが世界的にブレークした。そして、他にも続々と新しい感性の音楽家たちが登場し、話題を集めている。そのなかでも、今聴いておきたい2組を紹介しておこう。
オブ・モンスターズ・アンド・メンは、すでに説明不要かもしれない。2012年に発表したデビューアルバム「マイ・ヘッド・イズ・アン・アニマル」が、いきなり大ヒット。全米チャートでも6位に上昇するなど、一気にブレークを果たした。彼らの音楽は、インディ・フォークと呼ばれることも多い。たしかに、アコースティックな響きを生かした楽曲が多いが、一般にフォークと呼ばれるジャンルよりもスケール感が大きい。躍動感に満ちた独特のリズム、絶妙に絡み合う男女のツインボーカル、そして時折聞こえてくる合唱や掛け声などが、どこか民族的な雰囲気を醸し出す。3年ぶりに届けられた新作「ビニース・ザ・スキン」でも、その個性は健在。先行して発表された名曲「クリスタルズ」を聴けばわかるように、広大な風景に身を置いたかのような高揚感とともに、どこかクールな手触りに魅了されるだろう。
一方、ソーレイはアイスランドらしさが表れた繊細なシンガー・ソングライターだ。シーベアというグループで活動した後、2011年にソロ活動をスタートさせた。彼女はバンドではキーボード奏者だったが、マルチ楽器奏者としても知られている。しかしなにより、個性的なのはその深みのあるボーカルだ。どこかビョークにも共通する幽玄的な響きを持つ声は、聴く者を深い闇の中へと誘ってくれるだろう。2作目となるソロアルバム「アスク・ザ・ディープ」においても、静けさをたたえたピアノはもちろんのこと、ノイジーなギターをフィーチャーした楽曲までアレンジの振り幅は非常に広い。しかし、凛(りん)とした歌声だけは揺るぎなく、研ぎ澄まされた雰囲気を作り上げていく。オブ・モンスターズ・アンド・メンが青空だとすれば、ソーレイは漆黒の夜空。その対比を味わってもらいたい。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)