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ヨーロッパ発の珍しい楽器奏者 コリーン、マヌ・デラーゴ

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ヨーロッパ発の珍しい楽器奏者 コリーン、マヌ・デラーゴ

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フランス生まれのマルチ楽器奏者セシル・スコットのソロ・ユニット、コリーン(提供写真)  音楽を演奏するということにおいて必要不可欠な楽器。ポップスやロックであれば、ドラム、ベース、ギター、キーボードといったようなフォーマットが一般的だが、最近はちょっと変わった楽器を演奏するミュージシャンも増えてきた。今回は、そんな珍しい楽器を駆使して新しい音楽世界を作り出す2人にスポットを当ててみよう。

 バロック時代の「ビオラ」

 まずは、フランスのコリーン。セシル・スコットという女性のプロジェクトで、彼女はありとあらゆる楽器を演奏するマルチな才能を持っている。なかでもビオラ・ダ・ガンバはトレードマークだ。これはバロック音楽で使われていた弓で弾く弦楽器で、一見チェロを演奏しているように見える。ただ、コリーンが使用しているのは、トレブルというバイオリンほどの小さなタイプであり、膝の上に抱えて、さらにはギターを弾くように弦をつま弾くのだ。新作「キャプテン・オブ・ノーン」には、そのギターとハープの中間のような不思議な音色が他の楽器や自身の歌声と調和し、独特の世界観を作り出している。まるで霧に包まれた古城に迷い込んだかのように、幻想的な気分に浸ることができるだろう。

 軽やかなハングドラム

 一方、オーストリア生まれの打楽器奏者マヌ・デラーゴが演奏するのは、21世紀に入ってからスイスで開発された新しい楽器ハングドラムだ。空飛ぶ円盤のような形をした金属製の打楽器で、たたいたりこすったりして演奏する。スチールパンにも似た軽やかな金属音が特徴で、オルゴールを聴いているような優しい気分になる音色だ。製作に非常に時間がかかるため、入手するのに数年かかるといわれている人気の楽器でもある。マヌはビョークに認められてツアーメンバーに参加するほどの実力者であり、プロデューサーとしての能力も高いミュージシャン。初のアルバム「シルバー・コバルト」では、ハングドラムの響きを生かしながらも、ボーカルをフィーチャーした曲をはじめ、アコースティックからエレクトリックまでさまざまなタイプのサウンドを聞かせてくれる。時には実験音楽のような先鋭的なアプローチも行うが、ソフトに響くハングドラムが絶妙に中和していて、ふわふわと空を飛んでいるような感覚が心地いい。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS

 ■Colleen フランス生まれのマルチ楽器奏者セシル・スコットのソロ・ユニット。古楽器のビオラ・ダ・ガンバを始め、チェロやクラリネットなどさまざまな楽器を駆使した作品で評価を得る。通算5作目のアルバム「キャプテン・オブ・ノーン」を発表したばかり。

 ■Manu Delago オーストリア生まれのパーカッション奏者。ドラムなどを学んだ後にハングドラムと出会い、一躍第一人者となる。最近ではビョークのバンドに参加し話題を呼んだ。さまざまなゲストを迎えて制作したファーストアルバム「シルバー・コバルト」を発表。

 ■くりもと・ひとし 音楽&旅ライター、選曲家、ビルボードライブ企画プランナー。2年間の中南米放浪の経験を生かし、多彩なジャンルで活動中。情報サイト、All Aboutでアルゼンチンのガイドを担当。最新著書は「アルゼンチン音楽手帖」。

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