西郷隆盛という近代日本最大の謎 はたして西郷は何を黙したまま散ったのか 松岡正剛
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江藤淳は西郷の謎を突き止めたのではないが、その謎を自分の歴史的な身体感覚とその襞(ひだ)でわかっていためずらしい文学者だった。ぼくは50冊近い「西郷もの」を読んだけれど、江藤が一番「西郷らしさ」を言葉にしていた。西南戦争はやる前から「負け戦さ」なのである。それなのに西郷はこれを受けた。この瞬間、日本人は近代日本が最も継承しなければならなかったものを掌中から転ばせてしまったのである。西郷の「負」に迫った名篇だった。

