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海外情勢
タイ、コメ買い取り損失18%増加 国際価格下落響き1.2兆円に
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タイはインラック政権が実施するコメ買い取り制度による損失が膨らんでいる。同国政府の監査委員会によると、2011年10月の制度開始以降の損失額は今年9月までに3900億バーツ(約1兆2324億円)となり、今年3月時点の3300億バーツから約18%増加した。現地英字紙ネーションなどが報じた。
同国はコメ農家の所得向上を名目に、政府が市場よりも高い価格でコメを買い取っている。買い取ったコメは政府が売却の責任を負っているものの、国際的な価格下落などから売却がうまくいかずに在庫となり、損失が拡大している。米国農務省によると、13年から14年にかけての収穫年度はタイ政府のコメ在庫量が24%増加し、1550万トンに達する見通しだ。
買い取り実施を担当する国営のタイ農業・農業協同組合銀行(BAAC)は制度開始以降、これまでに6800億バーツを支出。しかし、商務省が売却した金額が1400億バーツにとどまっているためにBAACは資金不足に陥っており、農家への支払いも遅れているという。
こうした状況を受け、BAACは今月、同制度の運転資金枠の上限を5000億バーツから一時的に6400億バーツへ引き上げることを政府に申請し、1400億バーツの緊急融資を求めた。12年10月に政府が設定した運転資金枠の上限が早くも限界に達した格好だ。
損失が増え続ける同制度に対し、国内外からは厳しい批判の声が上がっている。プリディヤトーン元副首相兼財務相は、商業省のデータをもとに実際の損失額は4660億バーツに達している可能性があると指摘。早急な制度の見直しを求めた。
これに対し、ニワットタムロン副首相兼商業相は、監査委員会の数値には前政権の補助金制度による損失額が含まれており、インラック政権による損失は2600億バーツ程度だと主張。現在も中国政府とコメの売却交渉を進めるなどしており、最終的には2000億バーツをBAACに戻せると述べ、年間の損失額は1000億バーツ以内に抑えられるとの見解を示した。(シンガポール支局)