ニュースカテゴリ:政策・市況
海外情勢
タイ養殖エビ、病害で生産大打撃 日本など仕入れ先変更の動き
更新
タイで養殖エビの生産が落ち込んでいる。同国の養殖エビは昨年後半から養殖場で広まった病害によって生産が激減。国連食糧農業機関(FAO)によると、2011年に60万トンだった生産量は12年に53万トンに減少した。今年はさらに半減し、25万トン程度になるとみられている。現地紙ネーションなどが報じた。
エビ養殖も手がける同国の食品加工最大手、チャロン・ポカパン・フーズは病害による減産が響いて業績が急速に悪化。今年1~3月期の最終利益が前年同期比91.5%減の10億2000万バーツ(約32億5400万円)まで落ち込んだ。
続く4~6月期の営業利益は同59%減の16億4000万バーツ。7~9月期は鶏肉の需要増などで同10%増の26億5000万バーツとやや持ち直したものの、同社幹部は「養殖エビの病害の影響が予想以上に響いている」と述べ、エビの生産回復が遅れているとの見解を示した。
エビの供給不足による価格高騰で加工コストが上昇し、利益を圧迫しているとの認識だ。
世界最大のエビ輸出国であるタイにとって、生産の減少が経済に与える影響は大きい。同国の今年1~9月の輸出額は1720億ドル(約17兆5000億円)と前年同期比で0.05%増にとどまったが、商業省幹部はエビの生産激減が輸出の伸び悩みの一因との見解を示している。
FAOによると、病害はエビの消化器官を破壊する早期死亡症候群(EMS)が原因。人には感染せず、感染したエビを食べても害はないが、成長前のエビが感染するケースが多く、養殖場での大量死が生産減につながっているもようだ。
EMSはタイだけではなく、世界最大の生産国の中国やマレーシアなどアジア各国で発生しており、供給不足による価格高騰を招いている。消費量の多い日本でも提供を控えるレストランチェーンが出るなど影響が顕在化してきた。
タイでは国立遺伝子工学バイオテクノロジーセンターが対策に当たっているほか、チャロン・ポカパン・フーズをはじめとする民間も病害に強いエビの開発などに取り組む。同社幹部は「研究開発部門がエビの生存率を通常に戻す養殖方法を研究し、現場にも情報を伝えている」と述べ、来年中の供給回復は可能だとの認識を示した。
日本や米国などの消費国では仕入れ先をベトナムやインドネシアに移す動きも出ており、タイにとっては病害を克服するまで正念場が続くといえそうだ。(シンガポール支局)