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フィリピンのトラック規制、製造業打撃 貨物輸送停滞で損失7264億円も

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

フィリピンのトラック規制、製造業打撃 貨物輸送停滞で損失7264億円も

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 フィリピンの首都マニラで、トラックの乗り入れ規制が始まった。米金融大手シティグループは、主要港のマニラ港への貨物輸送停滞により最大3200億ペソ(約7264億円)の経済損失が発生する恐れがあると分析。一方、市当局は渋滞解消に効果があったと主張するなど、議論を呼んでいる。現地紙マニラ・タイムズなどが報じた。

 規制は市当局によるもので先月下旬から実施。午前5~10時と午後3~9時の間、総重量4500キロ以上の車両と車輪が8輪以上のトラックの市内乗り入れを禁じている。違反者には、5000ペソの罰金と車両没収の罰則が適用される。

 シティグループによると、カラバルゾン地区(カビテ、ラグナ、バタンガス、リサール、ケソン)の約800の経済区と、マニラ港との間の貨物輸送が規制により停滞している。同地区にはバタンガス港があるが、搬入能力がマニラ港の10分の1以下で代替港の役割を担うのは不可能だという。

 同社は、規制が続けば渋滞解消によって今年の国内総生産(GDP)に300億ペソの上乗せ効果があると予想。一方で、同地区とマニラ港の間に新たな輸送路を確保できない場合、製造業の輸出や生産、雇用の減少による損失が612億~3200億ペソに上る恐れがあると分析した。

 また、経済区への投資促進機関のフィリピン経済区庁は、輸出貨物を積んだトラックが港に入れなければ大量の納品遅れが発生すると指摘。外資系企業の生産と雇用に悪影響が及ぶ可能性があるとの懸念を表明した。

 こうした声に対し、規制を実施したエストラダ市長は渋滞の4割が解消されたと主張。「マニラ港周辺に広大な土地を所有している港湾局が、車両を閉め出しているのが渋滞の原因だ」と述べ、港湾局が車両の乗り入れと駐車を認めれば輸送の停滞も解決するとの認識を示した。

 電子部品など高付加価値製品の輸出は空輸が中心で、生鮮品や食品などは規制の対象外だ。こうしたことから、最も影響を受けるのは機械部品や衣料品など労働集約型の製造業になるとみられている。

 シティグループの地域担当者は同国の製造業従事者310万人のうち約100万人がカラバルゾン地区に集中しているとし、「静観中の中央政府の介入が必要となる事態も予想される」と述べた。(シンガポール支局)

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