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追加緩和、夏以降が「勝負どころ」 13年度上昇率 日銀想定上回る

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追加緩和、夏以降が「勝負どころ」 13年度上昇率 日銀想定上回る

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消費者物価上昇率の実績と先行きの予測  2013年度の全国消費者物価上昇率(生鮮食品を除く)は前年度比0.8%となり、日銀が想定していた0.7%を上回った。2%の物価上昇目標を掲げる日銀は、折り返し点を快調に通過した格好だが、円安による物価押し上げ効果が薄れる今夏以降が「本当の勝負どころ」(日銀幹部)。金融市場では「やがて物価上昇率は下がり始め、日銀は追加的な金融緩和策を迫られる」との見方が依然、根強い。

 年度平均の上昇率がプラスとなったのは08年度以来5年ぶり。エネルギーと食品を除いても0.2%のプラスと15年ぶりに上昇した。

 ただ、専門家の多くは物価を押し上げた主な要因を円安による輸入物価の上昇とみている。円安進行は昨年5月には一段落しており、今夏以降は円安効果が弱まるとみられる。

 消費税増税分の影響を除いた物価上昇率について、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「年末にかけて0%台後半になる」と指摘する。14年度の物価上昇率に関する民間の専門家42人の予測は、平均で0.97%にとどまる。

 これに対し日銀は、1%台前半で当面推移した後、「14年度の終わりから15年度にかけて2%に達する」(黒田東彦(はるひこ)総裁)とあくまで強気。消費税増税後も景気は回復基調を維持し、人手不足による人件費上昇などを通じ、物価上昇の圧力も次第に高まっていくとみている。

 日銀は30日発表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で15、16年度の上昇率予測を2%程度とする見通し。日銀内からも「本当の勝負はこれからだ」(幹部)との声が漏れる。夏以降に物価上昇率が低下する事態になれば、いったん遠のいた市場の追加緩和期待が再び頭をもたげそうだ。

 ただ、想定通りに2%上昇目標の達成が視野に入った場合でも、日銀は難しいかじ取りを迫られる。金利の急上昇といった混乱を避けるため、昨年4月に導入した大規模な量的金融緩和策の終え方をめぐる「出口」戦略について「日銀による早めの情報発信が不可欠になる」(証券系エコノミスト)ためだ。

 その場合、国債などの買い取り額を縮小させるなどの案も浮上しそうだ。今月8日の金融政策決定会合後の記者会見で黒田総裁は追加緩和の可能性を質問され、「逆の方向の調整の余地もある」と含みを持たせた。今夏以降の物価が上昇しても下落しても「黒田日銀」の金融政策は転換点を迎えることになる。

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