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上期の訪日外国人、最高の626万人 東南アジア向けビザ緩和追い風
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台湾からの観光客向けに菓子類を充実させている土産物店=沖縄県石垣市 日本政府観光局が23日発表した今年上期(1~6月)の訪日外国人客数(推計値)は、前年同期比26.4%増の626万400人で、上期としては過去最高だった。羽田空港発着の国際線が拡充されたことや、昨年7月にタイやマレーシアなど東南アジア向けのビザ発給要件が緩和されたことなどが追い風となった。
訪日客数は昨年、年間1000万人を初めて超えたが、今年はそれを上回るペースで推移。観光庁の久保成人長官は同日の会見で、「過去の実績では上期と下期の訪日客数がほぼ同数となっており、今年も下期が上期と同数程度でいけば、年間で1200万人台に達する」との見通しを示した。
同時に発表された6月単月の訪日客数は、前年同月比17.3%増の105万7100人と17カ月連続でプラスだった。6月としての過去最高を更新し、3月から4カ月連続で月間ベースで100万人を超えた。
6月単月の国・地域別の内訳は、首位は台湾で前年同月比12%増の25万4300人。2位は韓国で1.8%減の20万7600人となり、4月の旅客船沈没事故による自粛ムードの影響が続いたが、5月(14.6%減)に比べ減少幅は縮小した。3位は中国で76.7%増の17万4900人だった。
ただ、訪日外国人の訪問先は、東京や京都などの主要都市に集中しており、他の地方への誘導が課題だ。
沖縄本島より台湾に近い距離にある石垣島(沖縄県石垣市)には夏場、台湾から大型クルーズ船が就航している。多くの訪日客が観光もそこそこにして向かう先は、スーパーマーケットやドラッグストアだ。「日本製は質がいいから」と、食料品や薬品などの日用品を大量に購入していく。
7月中旬の午後、市の中心部にある土産物店では、台湾の家族連れが大量に菓子を購入していた。特産品の蒸留酒、泡盛の棚は素通り。「人はたくさん来るのに、あまりお金を落としてもらえない」と市の担当者は嘆いた。
沖縄県の訪日外国人数は1~6月で前年同期比1.7倍の約40万2000人。国・地域別では台湾が最多で全体の約4割を占め、韓国や中国本土、香港を含めたアジア勢では8割以上になる。欧米などからも訪問客を増やし、特産品を購入してもらうことが課題だ。
外国人誘致に向け、県では沖縄が発祥の地とされる「空手」を観光資源として生かそうと、豊見城市に空手道会館(仮称)の建設を計画している。今秋着工、2016年4月オープンの予定で「世界のファンや関係者が集まる拠点にしたい」(観光振興課)という。あわせて黒糖や泡盛、マンゴーなどの特産品を改めて「沖縄ブランド」として売り出しを強化する方針だ。
石垣島など離島群は、ダイビングの名所として国内外に根強いファンがいる。欧米人ダイバーも立ち寄るカフェを石垣島で経営する永山真治さんは「自然の中でゆったりした時間を買うリゾートとして開拓する余地はある。地元の人は外国人観光客が何を望むのか、十分に理解できていない部分もある」と話す。
いかに観光資源を掘り起こして、より多くの訪日客を呼び込み、地域の特産品を購入してもらうか。政府が目指す観光立国の実現に向け、地域の取り組みを育成する態勢作りが課題となる。(藤沢志穂子、森田晶宏)