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貿易赤字拡大 GDP下げ要因、消費増税判断に影響

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

貿易赤字拡大 GDP下げ要因、消費増税判断に影響

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 今年度上半期(4~9月)の貿易収支は約5兆4千億円の巨額赤字。国内産業の生産拠点が海外に移り、円安の輸出促進効果が薄れたことで企業の「稼ぎ方」にも変化が表れ、今後も黒字化が見通せない状況だ。貿易赤字は国内総生産(GDP)の押し下げ要因ともなるだけに、消費税率10%への引き上げ判断の材料となる7~9月期の成長率への影響が懸念されている。

 「輸出入の動向は内外の経済情勢、為替や原油価格の動向などさまざまな要因の影響がある」。菅義偉官房長官は22日、上半期で最大となった貿易赤字について、影響を冷静に見極めるべきとの立場を強調した。

 だが膨らむ貿易赤字は、安倍晋三政権の今後の政策運営に影を落とす。悪影響が大きいのは消費税率10%への引き上げ判断。判断材料となるGDPの構成要件に、貿易収支からなる「外需」が含まれるためだが、7~9月の貿易赤字額は4~6月よりも3千億円以上も膨らんでおり、SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「GDP成長率へのプラス効果は見込めない」と指摘する。

 27カ月も続く貿易赤字の背景には、国内産業の構造変化がある。製造業をはじめとする大手メーカーが生産拠点を相次いで海外に移転し、円安が輸出増に結びつかない。一方、原子力発電所の長期停止で火力発電所用の燃料輸入は高止まりが続く。

 もちろん、海外の生産拠点での利益は、経常利益として企業業績には反映されるが、設備投資や個人消費に回らない限り、GDPのプラス要因とはならない。

 牧野氏は「(税率の)引き上げ判断には、補正予算による景気対策などで国民の理解を得る必要が出てくる」と分析している。(佐久間修志)

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