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海外情勢
AIIB、消えぬ中国の強い影響力 「拒否権持たず」の約束に日本は冷ややか
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年内の創設を目指しているアジアインフラ投資銀行(AIIB)をめぐり、主導する中国が手中に収める組織運営上の権限に関心が集まっている。米紙は中国が拒否権を持たないことを欧州諸国に約束したと報じたが、公平なガバナンス(統治)は期待できないとの声が日本政府内では根強い。5割近くまで膨らむ可能性が指摘される中国の出資比率は、他の国際機関と比べても極めて高く、中国が強い影響力を及ぼす国際組織への懸念は消えない。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は23日、関係者の話として、数週間前に中国の交渉担当者が拒否権を持たないことを欧州諸国に提案したと報じた。英国、フランスなどの欧州勢が相次いでAIIBへの参加を決めた背景には、中国が拒否権にこだわらない姿勢をみせたことも影響したようだ。
中国は拒否権を確保することで、AIIBの運営に圧倒的な発言力を持つのではないかといった懸念が浮上していた。もっとも、同紙は「中国が強い影響力を持つことに変わりはない」とも指摘している。
拒否権を持たなくても、中国が主要な意思決定に関して有利な立場を確保するとの見方は強く、AIIBの組織運営がどうなるかは不透明のままだ。同紙は、アジア諸国の議決権を全体の75%とした上で、この75%分を国内総生産(GDP)の規模に応じてアジア各国に割り当てる案が検討されていると指摘している。
日本政府内からは「出資比率が高ければ、投票権の割合も大きくなるので同じことだ」(外務省幹部)と冷ややかな声が上がる。新興国や途上国を支援する既存の国際的金融組織では、最大でも1カ国の出資比率は30%程度にとどまる。世界銀行の最大出資国は約17%の米国、アジア開発銀行は約15%の日本だが、AIIBでの中国の出資比率は突出して高くなりそうだ。
麻生太郎財務相は24日の閣議後の記者会見で、加盟国を代表する理事会での個別案件の審査・承認や債務の持続可能性への配慮などが「確保されるのか見極めないといけない」と指摘。AIIBへの参加について「極めて慎重な立場だ」とする政府の見解を改めて強調した。