携帯電話各社が、高齢者向けの端末機器やサービスの充実を競い始めた。高齢者は「情報弱者」の代表的存在とされてきたが、携帯電話の加入数が総人口を上回る1億2000万件を超えて飽和状態となる中、情報機器への抵抗感がなくなりつつあるシニア層が有望市場として台頭。各社は従来型の携帯電話やスマートフォン(高機能携帯電話)、タブレット型端末の操作性の向上にしのぎを削る。
使い勝手、料金克服
「ドコモショップでは、シニアの方もスマホの売り場にまず足を運ばれるが、使い勝手や料金で二の足を踏んでいた。今回、2つの課題を克服した」
NTTドコモの山田●持社長は5月16日、携帯電話などの夏モデル発表会後にこう語り、世界初ともいえる高齢者向けの「らくらくスマートフォン」の売れ行きに自信を示した。
らくらくスマートフォンは、累計2000万台の販売実績を挙げた富士通の従来型携帯電話「らくらくホン」シリーズのスマホ版。大きめのキー配列など分かりやすい操作画面や、誤動作を防ぐため強めに押す仕様にしたタッチパネル、聞き取りやすい専用スピーカーなどシニア向けの機能を装備した。
さらにスマホ独自の初期設定が不要なほか、専門アドバイザーのサービスも用意。料金面でも通常より45%安いパケット定額サービスを導入し、割安感を打ち出した。