主要国・地域の粗鋼生産に占める電炉鋼比率【拡大】
電炉業界の苦境の度合いが深まっている。原発停止の長期化に伴う電気料金の値上げが全国的に拡大する様相のほか、中国や韓国からの割安な輸入鋼材が増加し、収益悪化が進んでいるためだ。すでに私的整理による経営再建を目指す動きも出ている。
電炉メーカーは鉄くず(スクラップ)を再利用して鋼材を生産し、粗鋼生産量の2割を占める重要な産業だけに、経営危機や廃業が相次げばその影響は産業全体に及ぶことは避けられない。高付加価値化や新興国への進出など生き残りを模索する動きも出てきたが、即効性は薄く、存亡の危機が続いている。
円安が追い打ち
「電気料金値上げは電炉業に対する『廃業勧告』に等しい」
2月22日、茂木敏充経済産業相との意見交換会で、日本鉄鋼連盟の友野宏会長ら幹部は電炉業界が置かれた窮状を訴え、電気料金値上げによる影響緩和のため、税制や補助金などの政策手段の実施を強く求めた