だが関係者によると、交渉相手からは「誰が本当のトップなのか」と疑問の声も上がっていた。米クアルコムやサムスン電子との資本提携交渉をまとめ上げた実績から、片山氏に業務執行権を付与する案も浮上したが、奥田社長との間で責任の所在があいまいになるとの意見もあり立ち消えになった。
シャープは昨夏に主要取引銀行に提示した再建計画の多くが未達成。約3000人の人員削減以外の構造改革が進んでおらず、主力取引銀行のみずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行も、昨年からシャープの経営体制には懸念を示しており、奥田社長以外の複数の社長経験者がいまだに経営に関与していることが経営判断の遅れにつながっていると指摘されてきた。
シャープには近く2行が派遣する役員級を受け入れる見通しで、銀行の監視の下、追加のリストラを含めて大胆な経営再建策を求められそうだ。