小型の個人向け3Dプリンターも登場している【拡大】
ものづくりの未来を変えると期待されている「3次元(3D)プリンター」が注目されている。大手製造業や医療などの最先端分野での活用が進み、先行する米メーカーを追う。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の成長戦略でも、3Dプリンターへの投資支援が言及されており、官民一体となった取り組みが加速しそうだ。
計測器大手キーエンスは2年前から、超高精細な造形ができる3Dプリンターを自動車メーカーなどに販売している。「商品サイクルの速い家電製品や装置メーカーなど、さまざまな業界からの引き合いが急増している」(担当者)
光造形システムのシーメット(横浜市)は、透明度の高い樹脂を開発し、自動車エンジンの試作品などが造形できる。ベンチャーのアスペクト(東京都稲城市)は、金属粉末で造形する「ラファエロV」シリーズを開発した。
調査会社のシード・プランニングによると、平成24年の国内市場規模は93億円、28年には155億円に成長する見通しだ。
成長市場をリードするのは、造形方法などで多くの特許を持ち、政権の後押しのある米国勢だ。米調査会社によると、2021年の世界市場規模は12年と比べ約5倍の約1兆円に達する見通しだ。
日本で3Dプリンターが普及するためには、ソフトウエアの開発や設計データの3次元化などが鍵となる。成長戦略では、3Dプリンターなど先端設備に投資しようという企業の決断を後押しするため、支援措置を検討するとしている。