セメント価格の値上げ交渉が進展せず、メーカー各社を悩ませている。東日本大震災からの復旧・復興を中心に高まる需要増に伴い、土木・建設現場での人手不足による人件費高騰が、価格交渉を妨げる要因となっている。
「需給がかなりタイトになって、ようやく交渉のテーブルについたところだ」
ある大手セメント会社は、生コン会社などの需要家との間で行われる交渉の難航をこう説明する。
セメントメーカー各社は原燃料費上昇分の価格転嫁を図るため、10月出荷分から1トン当たり約1000円の値上げを打ち出したが、交渉は進んでいなかった。生コン会社側が値上げを拒んできたためだ。だが、年末を迎えて需給が厳しくなり、背に腹はかえられない生コン会社が交渉の席に着いたのだ。
生コン会社側が値上げを渋っていた背景には、建設現場などの人手不足の問題がある。