日本の伝統的な菓子、かりんとうに、エスプレッソや赤ワイン、いちごミルクなど、ユニークな味付けを施す-。考案したのは、かりんとう専門に製造・販売を行う「コルカリーノ」だ。
◆少ないライバル
染谷清賢社長が「コーヒーや紅茶にも合う、かりんとうを作りたい」との思いから、2010年5月に前身となる、かりんとう専門店「かりんとう本舗」を茨城県牛久市に立ち上げ、12年に法人化した。
米を使った菓子作りに携わってきた染谷社長が、かりんとうに目を付けたのは「世界中で生産され、どんな味にも合う」と、小麦粉に魅力を感じたから。ただ、同じ小麦粉を原料としてもケーキやパンには「先人がたくさんいて、かなわない」とライバルの少ないかりんとうを選んだ。
味は洋風だけでなく、黒糖といったオーソドックスなものや季節限定商品も含め、これまでに20種類以上を開発。例のない洋風の味付けは、かつて店長として働いた珈琲(こーひー)店でフレーバーティーを作った経験を生かしたという。
一番人気は生地に紅茶を練り込んだ「アールグレイ」。だが、みそ味のかりんとうも意外性があって受けている。
みそかりんとう誕生のきっかけは東日本大震災だった。かりんとうを使って被災地の復興支援ができないかと模索していたとき、ふと仙台みそが頭に浮かんだ。「被災地のみそを使うことで復興を支援しよう」と宮城県内のみそ蔵が仕込んだ製品を使ったかりんとうを考案した。
現在は「みそかりんとうの発信で、観光振興や牛久市の活性化につなげたい」と地元のみそ蔵の20年ものの漆黒のみそを使ったかりんとうも開発。観光庁の「世界にも通用する究極のお土産」にノミネートされ、一気に注目を浴びた。