今年4月に創業78周年を迎える三木証券。地場証券の盛衰をみてきた鈴木玄雄社長は生き残りの秘訣を「好業績時の不況への備え」と指摘する。
同社が重視しているのは、オーナーの強みをいかした10年単位の経営だ。鈴木社長は「目先に走ると手数料を追いかけてしまうので投資家に『(株式を)売ってくれ、買ってくれ』と無理させる。営業職員には『だめなときは勧めるな。信頼関係をつくれ』と言っている」と顧客第一を訴える。営業職員の評価も顧客満足度で決める。回転売買で手数料が増えて会社に貢献しても、「顧客が不満足では評価しない」(鈴木社長)と明快だ。
収益構造の改善必至
とはいえ、海外投資家が牽引(けんいん)するアベノミクス相場の反動はいずれ訪れる。高齢化する顧客層の若返りは進まず、「高値で株式を売って、(取引を)やめる人も少なくない」(兜町関係者)との危機感は強い。地場証券の多くは、株式売買手数料収入に依存しており、収益構造の改善は必至だ。小林社長は「お客さまの資産形成に適した商品を作って提案していく」と述べ、金融商品を多様化して、対面営業を深化することに活路を見いだす。(松岡健夫、佐藤裕介)