□エレクトリフィケーション コンサルティング代表・和田憲一郎
最近コンサルタントとして、いろいろな企業のエンジニア出身の役員・部長・課長クラスと話をする機会が多いが、「あれっ?」と気づくことがある。それは、エンジニア出身の責任者が、あまりにも自分の領域以外のことについて知らなさ過ぎるという点である。技術者として育ってきたせいか、専門領域についてたずねると詳しく説明いただけるが、それ以外となると同じ業界でもほとんど門外漢となる。
◆「目標必達」に萎縮
例えば、あなたの会社で次のようなことはないだろうか。
(1)課長、部長になっても、専門領域だった内容に細かく口出ししようとする。
(2)配下を管理することに仕事のウエートを置いている。
(3)新技術に関する提案は、相手企業が訪問してくるのを待っている。
(4)同じ業種のことは詳しいが、少し外れると関心が薄く、知人も少ない(例えば、エンジン部品を作っている場合、電気自動車や自動運転への関心は低い)。
(5)戦略は主に会社幹部が立案するもので、自らは実行の役割だと思っている。
もし、こうした現象が多くの企業で存在するならば、それはかなりの重症ということになる。というのは、昨年秋以降、自動車や家電、機械、化学など、モノ作り系の業績復活が報道されているが、何か新しい商品によって復活したというより、円安やアジア諸国の発展など、外部環境の変化により復活している要素が多いと見受けられる。過去にいわれた「技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか」というロジックは何ら変わっておらず、このままでは再び同じ局面に陥ることが予想される。