日本庭園を海外展開する“植木屋”がいる。小杉造園(東京都世田谷区)の小杉左岐(さき)社長だ。すでに数カ国で庭造りを行ったほか、欧州や中東から引き合いが来る。世界中から研修生を受け入れ、技術を広める活動も展開。各国政府や大学の講演依頼も多い。ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」に続けとばかり、「クールジャパン」の一つとして日本の庭園文化を世界に発信する。
欧州、中東へ出張
「5月から6月にかけてオーストリア、キプロス、ドイツに行ってきた。9月以降もいくつか海外出張がありそう」
小杉氏は淡々とこう語った。平均して海外に月1回は出かけるという植木屋の3代目に、数人の弟子を抱える親方が個人邸から庭造りを任されるという、かつてのような“植木職人”のイメージはない。
海外初進出はアゼルバイジャン。同国政府の要請を受け、2009年10月に造った白砂を敷き詰める「枯山水(かれさんすい)庭園」で、造園に必要な設計・施工技術をすべて投入した。視察に訪れたアリエフ大統領から「大変素晴らしい日本の文化を紹介してくれた」と感謝されたという。