マンション全体で一括して電気を購入する「一括受電サービス」に、東京電力や関西電力など大手電力各社が相次ぎ乗り出している。原発停止に伴い電気代が値上がりし、一括受電への乗り換え需要が拡大する中、先行する新電力(新規事業者)に対抗する構えだ。2016年の電力小売りの全面自由化を控え、新電力も含めた競争がさらに激化しそうだ。
割安な電気代魅力
「顧客を奪われるのを黙ってみているわけにはいかない」
大手電力の幹部は一括受電サービスを強化する背景をこう説明する。これまでは収入の減少につながる恐れがあるため、同サービスの提供には消極的だった。だが新電力が一括受電を武器に大手電力の顧客を切り崩し始め、状況が一変した。
一括受電は、各世帯が東電や関電など地域の電力会社と契約を結ぶのではなく、マンションの管理組合などがエレベーターや共用部の照明と全戸の電気をまとめて契約する。既に自由化され、家庭向けよりも安い大口料金の適用を受けられるため、電気代が安くなる仕組みだ。