大手電力が老朽原発について、「廃炉」か「運転延長」かの選別を迫られている。原子炉等規制法で原則40年と定められた運転期間を延長する場合、安全対策などで必要な改修に巨額の費用がかかるためだ。経済産業省は年内にも、電力各社に廃炉か延長かを決めるよう求める方針。関西電力や九州電力などは老朽原発の廃炉も視野に入れており、各社は今後、対応を検討する考えだ。
電気事業連合会の八木誠会長(関電社長)は19日の会見で、「(廃炉は)各社が費用対効果などを総合的に勘案して決めることだ」と説明した。
国内には運転開始から30年以上が経過した老朽原発が18基ある。経産省は古くなった原発を廃炉にすることで、比較的新しい原発の早期再稼働に理解を得たいとの思惑もあるようだ。
運転から40年を超える原発の再稼働には、通常よりも厳しい「特別点検」を行った上で、新基準を満たしているかどうかの審査を原子力規制委員会へ申請する必要がある。特別点検やその後の審査をクリアするためには、改修などに多額の費用がかかる見込み。