コンビニエンスストアから出た消費期限切れの食品などをその場で分解し、生ごみをなくす-。流通大手セブン&アイ・ホールディングスは傘下のコンビニ、セブン-イレブン・ジャパンの都内20店舗に小型生ごみ処理機をクラレなどと共同で設置し、4月末から稼働を始める。処理機は約20キロの生ごみを約24時間で分解、残った分解液を液体肥料として利用できる。食品リサイクルにもつながる取り組みのカギを握るのは、クラレが開発した直径4ミリの白い樹脂「クラゲール」だ。
シンクピアと共同開発
約17万個のクラゲールが入る洗濯機ほどの大きさの生ごみ処理機に、売れ残りの食品などを投入。内部で水をかけながらかき混ぜると、クラゲール1粒に約10億個すむ微生物が生ごみを分解し、1日後には跡形もなくなる。
クラレがベンチャー企業、シンクピア・ジャパン(横浜市)と共同開発した生ごみ処理機は、こんな魔法のような仕組みを実現した。クラレアクア事業推進本部の橋本保・主管は「コメのもみ殻などの表面に微生物をすまわせる従来の処理機より大幅に小型にできる上、乾燥させて肥料にする機械に比べて電気料金が抑えられる」と話す。
クラゲールは、クラレが世界で初めて事業化した機能性樹脂「ポバール樹脂」から作る。独自の製造技術で1粒に約0.02ミリの穴を複数開けた網目状にして、微生物が表面だけに付くもみ殻などに比べて、より多くすめる構造にしたのが特徴だ。