「究極のエコカー」とされる燃料電池自動車(FCV)をトヨタ自動車が発売するなど、水素エネルギーの普及に向けた動きが加速している。福岡市と九州大は、水素を下水汚泥から精製してFCVに供給するという世界的にも珍しい実証実験に取り組んでいる。
現在、水素はLNG(液化天然ガス)を改質する製法が一般的だが、処理場に毎日集まる汚泥を原料にできれば、化石燃料に頼らず、輸送に伴う二酸化炭素(CO2)排出も少ない「地産地消型」のエネルギーサイクルが現実味を帯びてくる。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の公開から30年。同作に登場する「デロリアン」のように廃棄物をクルマの燃料に使う日が近づいてきた。
既存の処理場活用可能
博多港に面した工業地帯に建ち、1日約20万立方メートルの汚水を処理する福岡市中部水処理センター(同市中央区)が実証実験の舞台。国土交通省が助成する「水素リーダー都市プロジェクト」として昨年スタートした。約13億円かけて水素製造プラントを建設し、製造した水素を市有のFCVなどに供給する取り組みだ。