日本郵政グループ3社が上場して1カ月。民営化の進展を受けて、政府が金融2社の限度額引き上げに向けた動きを見せるなど規制緩和の動きも活発化してきた。しかし、上場を歓迎する民間金融機関も限度額引き上げには反対の姿勢を崩さず、来夏の参院選をにらみ規制緩和論議は熱を帯びそうだ。
日本郵政は3日、上場後初めての自社株買いを実施した。同時上場したゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の売却益約7300億円を元手に、東京証券取引所の立会外取引で発行済み株式の8.52%(3億8330万6000株)を2日終値の1株1907円で取得した。
取得株式の内訳は、財務省から3億8290万株、市場から40万株。その結果、政府の日本郵政株の保有比率は80.5%に下がった。政府の売却益は東日本大震災の復興財源に充てられる。
政府は今後も、日本郵政株を段階的に売却し、保有比率を3分の1強まで引き下げていく。日本郵政も傘下のゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を50%程度まで売却。3社の売却益はいずれも復興財源に充当される。
日本郵政に対する政府の関与が薄れると同時に浮上するのが、規制緩和論議だ。政府はゆうちょ銀の貯金限度額とかんぽ生命の加入限度額の引き上げについて来年4月にも実施する方向で検討に入った。
ただ、上場後も、民間金融機関は民業圧迫を理由に限度額引き上げに強く反発している。