シャープの液晶事業をめぐる争奪戦が水面下で過熱している。官民ファンド、産業革新機構が傘下の中小型液晶大手、ジャパンディスプレイ(JDI)との事業統合を模索し、台湾の電子機器受託製造サービス大手、鴻海(ホンハイ)精密工業も事業買収を打診し、革新機構より高額を提示しているとみられる。取引行の思惑も絡み、シャープの液晶事業の行方は混沌(こんとん)としてきた。
JDIの本間充会長兼CEO(最高経営責任者)は、11月の決算会見で、シャープとの連携に関し「もしも話がくれば、日本の液晶産業を守る観点から拒否することはない」と語っていた。
JDIはもともと、ソニー、東芝、日立製作所の3社の液晶事業を統合して設立された「日の丸連合」。もしシャープの液晶事業が外資に渡れば、JDIは存在意義が問われかねない事態になる。