インターネット通販も始めた上海高島屋。高島屋は国内の人口減を見越して海外展開にも力を入れている【拡大】
人口減は、需要不足という形で企業に深刻な打撃を与えつつある。特に危機感を募らせているのが、食品などの内需型産業だ。各社では、国内依存度を引き下げ、「じり貧」を回避しようと、M&A(企業の合併・買収)も駆使しながら海外への進出を加速。需要不足とともに懸念される労働力不足への対策も強化している。
化粧品大手のコーセーは18日、北米市場に同社最高級となる新ブランド「デコルテ」を投入した。富裕層を取り込み、国内に続く収益源に育てるのが狙いだ。
化粧品の国内市場は少子高齢化で縮小傾向にある。一方で、化粧品メーカーの国内依存度は高く、コーセーの海外売上高比率も約16%にとどまる。足元の業績は好調だが、訪日中国人客の“爆買い”が支えている面もあり、いつまでも続くとは限らない。小林一俊社長は「海外で存在感を高め、売り上げを伸ばさないといけない」と危機感をあらわにする。
調査会社のレコフによると、昨年は円安にもかかわらず、日本企業による海外企業のM&Aが金額ベースで9年ぶりに過去最高を記録した。その原動力となったのが、人口減への内需企業の危機感だ。10日には、アサヒグループホールディングスが欧州のビールブランドを約3300億円で買収すると発表した。国内市場という「胃袋」が縮むなか、食品メーカーが海外企業の買収に活路を求める動きは今後も続くとみられる。