三菱鉛筆が5月に発売するボールペン。セルロースナノファイバーをインクに混ぜ、滑らかな書き味を実現した【拡大】
夢の素材といわれるセルロースナノファイバー(CNF)の実用化が進んでいる。植物から作られるため環境負荷が少ない上、鉄より軽くて強いといった多くの特長を備える。森林資源の豊富な日本では、原料調達が容易というメリットもある。2030年に関連市場が1兆円に達するともいわれる中、製紙会社などが研究開発や用途開拓を加速している。
CNFは、植物繊維を細かく解きほぐしたものだ。繊維1本の直径は数十ナノ(1ナノは10億分の1)メートル以下にもかかわらず、鉄の5分の1の軽さで強度が5倍と、普及で先行する炭素繊維に匹敵する。透明で、熱を加えても膨張しにくいなどの特徴もあり、開発では日本がリードしている。
三菱鉛筆は、インクにCNFを配合したボールペン「ユニボール シグノ307」(税抜き200円)を5月26日に発売する。CNFがインクの粘り気をコントロールする性質を利用、滑らかな書き味を実現した。