セブン&アイ 鈴木氏への根強い“世襲”批判、企業統治働く

2016.4.7 22:04

 セブン&アイ・ホールディングスの取締役会が、会社側提案の人事案を否決した背景には、経営の透明性を求める社会的な機運がある。鈴木敏文会長兼最高経営責任者が掲げた人事案に対し、鈴木氏の次男でセブン&アイの取締役を務める鈴木康弘氏への“世襲”も取り沙汰された。理由の不透明なトップ交代を未然に防いだ決定は、株主への説明責任が求められる中で、企業統治(ガバナンス)が働いたといえそうだ。

 「うわさされるのは不徳のいたすところだ」

 会見で鈴木氏は、人事案にからむ世襲問題を否定した。だが、セブン&アイの大株主で米投資ファンドのサード・ポイントは書簡で、人事案が康弘氏を将来のトップにするための「縁故主義に基づく行動」と批判。各取締役に「透明性を持って慎重に行動するよう」に求めていた。

 会社側の人事案は、セブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長に代わり、8歳年上の古屋一樹副社長(66)を昇格させることが柱だった。だが、好業績を挙げた井阪氏を、トップの若返りでもない中で、交代させるのは理由に欠けた。

 指名・報酬委員会で社内外の取締役4人が計5時間以上話し合ったが結論が出ず、意見が割れたまま取締役会に突入した。図らずも委員会等設置会社のガバナンスが機能した形だ。

 会社法に基づき、取締役は株主から委任されて経営にあたる法的な責任がある。それを怠れば、上場企業の取締役の場合、株主代表訴訟などのリスクにさらされる恐れがある。立教大大学院の亀川雅人教授は「外国人投資家ら株主に説明責任を果たせるかという点で、ガバナンスが効いた結果ともいえる」と分析した。(永田岳彦)

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