「東京アクセラレーター」で提携したゼロワンブースターの鈴木規文社長(左)と握手する新田信行・第一勧業信用組合理事長=5月18日、東京都新宿区【拡大】
東京23区内を地盤とする第一勧業信用組合が、地方信組とのネットワークづくりとベンチャー企業の育成・支援に本格的に動き出した。みずほ銀行常務執行役員から2013年に理事長に就任した新田信行氏が陣頭指揮、16年度を最終年度とする中期経営計画「かんしんSmile50」(愛称)で職員に求めたのは目利き力だ。
--信組のトップとして現状をどうとらえているのか
「成熟社会を迎え、信組の時代が来たと感じている。経済成長期は均一性と量、モノとカネがものを言った。今は均一性より多様性、量より質、モノとカネよりヒトの時代だ。こうした環境激変時代に求められるのは適応力で、大(企業)より小に向いている。みずほのときは、市場規模が100億円単位でみていたが、今は10億円が融資の判断基準。メガバンクの網からこぼれ落ちた企業を拾うのがわれわれの仕事だ。信組は株式会社ではなく共同組織。信組にしかできないことがある」
--それは何か
「地域や若者、女性企業家などの支援だ。金融機関の役割は『経済の循環機能』といわれるが、実績主義、担保保証の銀行では貸せない。若者や女性には実績も担保もないからだ。代わりにわれわれが融資し育てる。このためリレーションシップバンキングに力を入れ、職員には目利き力を高めてもらう。経営者と会って話を聞いて膝を詰め合わせれば人となりは分かる」
--その一環として創業支援に乗り出した
「昨年11月に創業支援室を新設、起業・創業者向け融資『しんきん未来ローン』を開発したほか、出資などにも対応できるエクイティ『かんしん未来ファンド』を設立。さらに交流組織『かんしん未来くらぶ』を立ち上げた。また日本政策金融公庫と協調融資商品『未来へのコラボ』の取り扱いも始めた」