■「地元と議論尽くして」
JR北海道が追い込まれた末に一策を講じたが、事業の見直しで単独維持が困難とされた路線の存続を求める地元関係者は多く、民営化を進めた国は静観する構えだ。経営を安定させるため基金を設立するなど民営化時に十分な支援をしたとの判断がある。国土交通省幹部は見直し策の成否について「まずはJR北海道が地元とひざ詰めで議論を尽くし、経営改善への道筋を示してもらいたい」と述べ、当面は見守る姿勢だ。
国は1987年の国鉄民営化に際し、経営基盤が弱かったJR四国、九州を含む「三島会社」の経営を安定させるため基金を設けた。運用益で赤字が見込まれる鉄道事業を穴埋めするのが目的だったが、バブル崩壊後の低金利が響き、狙い通りの運用益にはならなかった。
今回表明した事業の見直しが計画通りに進展しなければ「資金繰りが危ぶまれる」(鉄道関係者)とされる。ある銀行幹部は営業エリアが隣接するJR東日本による経営支援を期待する。東日本関係者は「株主の反対が必至だ」と強く否定し、現時点で実現性は乏しい。
石井啓一国交相は18日の閣議後の記者会見で「関係者の話し合いが円滑に進むよう役割を果たす」と述べ、当事者はJR北海道と地元関係者だとする考えを示した。