
発電装置の設置イメージ。強固な基礎工事が必要ないことも大きなメリットだ【拡大】
■落差1メートル 水路から手軽に電気
◆強固な基礎工事不要
巨大なダムから膨大な量の水を落として発電する-。「水力発電」と聞けば、多くの人がそうしたイメージを抱くだろう。それを覆す画期的な発電装置が登場した。公共インフラの調査・設計業務などを手掛ける協和コンサルタンツが産学協同で開発した「相反転方式落差型小水力発電装置」だ。最大の特徴は、水流の落差わずか1メートルでも発電できるという簡便性。担当者は「全国の農業用水路などに設置を広げ、電力の地産地消を軸にした地域活性化に貢献できれば」と期待を込める。
「以前から検討していたが、東日本大震災を受けてプロジェクトが本格化した」と振り返るのは、同社新規事業推進室の桑野和雄氏。2011年夏に流体機械が専門の金元敏明・九州工業大教授(当時、現佐賀大海洋エネルギー研究センター特任教授)と共同で試作機を完成させた。静岡県富士宮市などで試験を行い、今年10月に販売を始めた。
一般的な小水力発電の場合、水流の落差は最低でも1.5メートルは必要とされる。しかし新開発の装置は1メートルで、必要な水の流量も毎秒0.15~0.2立方メートルで済む。これは、幅1.7メートルの水路を高さ十数センチの板でせき止めれば確保できる流量という。発電出力は、家庭1軒分の消費量に相当する450~600ワット時に上る。