■強み生かして新たな価値生むM&A
--2016年は為替変動の激しい1年だった
「当社は主力の複合機が欧州を中心に堅調で、現地通貨ベースでは増収増益だ。ハードを売るのではなく、複合機を通じたサービスを提供する戦略に軸足を移している。生産の割合のかなりの規模を中国や東南アジアに移し、ドルレートの変動に影響されない体制を整えている。ユーロ取引、ユーロ圏内での調達を増やすなどして為替変動に対応していきたい」
--医療分野を成長の柱に位置づけている
「当社が注力しているのは、プライマリーケア(初期医療)の分野だ。地域の中規模の病院や診療所と連携、診断レベルの向上に取り組んでいる。DR装置(デジタルX線画像診断装置)や超音波画像診断装置をインターネット接続し、遠隔診断をサポートしたり、患者の行動をスマートフォンで監視したりするなどのサービスを提供し、医療・介護現場の負担を減らしたい」
--創薬支援技術の開発にも取り組んでいる
「写真フィルムで培った技術を活用し、パリのパスツール研究所などと、患者一人一人に合った最適な薬の開発に貢献する技術を研究している。細胞中のタンパク質などの動きを高解像度で観察できることで、新薬の開発にかかる時間やコストの短縮を目指す。実用化すれば、薬の価格も抑えられる効果も期待できる」
--監視カメラシステムも成長分野だ
「ドイツの監視カメラメーカー、モボティックスの買収を16年6月に完了した。通常の監視カメラは、大量で高画質の画像を集めるために大容量のサーバーが必要だが、モボティックスのカメラには画像解析ソフトが内蔵されている。効率的な撮影や不審者の追尾などもできるビデオマネジメントシステムを提供する」