岡山県西粟倉村など全国8市町村が連携し、起業支援のNPO法人ETIC.(エティック、東京都渋谷区)が事務局を務める「ローカルベンチャー推進協議会」は、地域の課題解決に取り組む、「ローカルベンチャー」を投資先とするファンド(基金)を来年3月までに立ち上げる方針を固めた。すでに複数のベンチャーキャピタル(VC)や地域金融機関に出資の呼びかけを開始している。
ファンド規模は約3億円、運用期間は5年前後を想定。アーリー(創業初期)段階のローカルベンチャーに1社当たり最大1000万円、ミドル(成長期)からレイター(拡大期)のベンチャーには3000万~1億円を投資する。
協議会に加盟する自治体に事業拠点を持つベンチャー企業などが、投資先に対して経営体制の指導や取引先の紹介、資本政策の立案などを支援する。
2011年に発生した東日本大震災の後、地域経済の新しい担い手として、さまざまなローカルベンチャーが次々と立ち上がっているものの、資金調達が課題になって、事業展開が思うように進んでいないケースが少なくない。
既存の銀行や信用金庫などは、前例のない事業が多いだけに融資には慎重になる。さらにVCはその多くが東京を活動の中心にしているうえ、こうしたVCの場合、1社当たりの投資額が数億円規模と大きくなることから、ローカルベンチャーには敷居が高い。一方では、日銀のマイナス金利政策の影響で、多くの金融機関が運用先で頭を抱えている現状がある。
エティックの山内幸治理事は「ファンドを通じて、ローカルベンチャーを立ち上げようとする人たちを後押ししたい」と意欲をみせている。