
三越伊勢丹ホールディングスの旗艦店の一つ、伊勢丹新宿本店=東京都新宿区【拡大】
百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋社長(61)が3月末に退任する方針を固めたことが6日、分かった。国内市場での百貨店離れや中国人訪日客の“爆買い”の鈍化で業績が悪化する中、構造改革で成果を出せなかった経営責任を明確にする。伊勢丹出身の大西氏は2012年に三越伊勢丹HD社長に就き、三越出身の石塚邦雄会長(67)を後ろ盾にグループを率いてきた。大西氏の後任は現時点では未定で、社内外で構成する指名報酬委員会で議論した上で、7日に開く取締役会で決議する予定だ。石塚氏は留任するとみられる。三越伊勢丹HDは、売上高に占める百貨店事業の比率が競合他社に比べ大きいことが課題。大西氏は地方店の閉鎖や他社との提携といった構造改革に取り組んだが、17年3月期の営業利益は前期比28%減の240億円と大幅減益の見通し。17年2月期の営業利益見込みで、ライバルの高島屋が3%増、J.フロントリテイリングも6%減にとどまるのに対し、三越伊勢丹の業績は見劣りしていた。
◇
閉鎖は旧三越多く
三越伊勢丹HDの先行きが不透明感を増している。屋台骨の伊勢丹新宿本店(東京都新宿区)など旗艦3店の客離れが続く中、リストラをめぐって社内で対立しているとの見方も浮上している。
「今のビジネスモデルで良いとは思っていない」。昨年11月に開かれた中間決算の記者会見で、大西氏はこう語った。インバウンド(訪日外国人)による爆買いで業績が好調だったが、それも終息。中間所得層の百貨店離れも起き、大西氏は今春以降のリストラを示唆していた。