高効率石炭火力に協調融資 JBICなどベトナム事業で合意

 国際協力銀行(JBIC)と三菱東京UFJ銀行が、三菱商事がベトナムで受注した環境負荷が低い高効率の石炭火力発電所向け協調融資で合意したことが6日、分かった。民間分の融資に日本貿易保険(NEXI)が貿易保険をつけて、融資回収リスクをカバーする。同国で、日本企業が技術優位を持つ「超々臨界圧」の石炭火力を建設するのと、政府金融による支援をするのは初めて。政府が成長戦略の柱に据える「質の高いインフラ整備」を官民で支援し、進出日系企業の電力安定供給にも貢献する。

 融資対象は、三菱商事など4企業連合がベトナム電力公社(EVN)から受注した、ビントゥアン省にある石炭火力発電所の拡張工事。2019年の運転開始予定で、需要が高まるホーチミンなど南部向けに送電する。主要機器の蒸気タービンは東芝製。融資総額は8440万ドル(約93億3000万円)で、JBICが6割、三菱東京UFJ銀が4割を分担する。

 今年1月の安倍晋三首相のベトナム訪問時にも高効率石炭火力技術での協力を表明し、日本政府は協調融資を機にさらなるインフラ技術輸出につなげ、ベトナム中・南部の電力需要の逼迫(ひっぱく)解消に貢献する。NEXIは14年、ベトナム財務省とインフラ整備で協力覚書を結んでおり、同省から保証を取り付けた。

 ベトナム政府の第7次国家電力開発基本計画改定(11~20年)によると、石炭火力は現在の3割強から5割強に増やす見通しだ。一方、経済協力開発機構(OECD)は今年に入り、加盟国の石炭火力設備輸出への公的融資について、例外があるものの「超々臨界圧」を中心に条件を設定している。