健康経営
食べきりサイズの野菜や総菜を入れた冷蔵庫を職場に置いて、好みに応じて取り出してもらうサービスが注目を集めている。従業員の健康増進に積極的に取り組む「健康経営」を進める企業が増えていることが背景にある。家庭で一手間加えて食卓に出すなど活用の幅も広がっている。
東京のキリン本社にある食堂には、職場の置き野菜サービス「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」の冷蔵庫が置かれている。キリンは健康経営につなげようと2016年11月に試験導入し、今年から本格的に取り入れている。
KOMPEITO(コンペイトウ、東京都港区)が手掛けているサービスで、小分けしてパックに詰めた野菜や果物、サラダを週2回配達し、貸し出してオフィスに設置してある冷蔵庫に収める。導入した企業が利用料を負担する分、従業員は1つ当たり100~300円の支払いで済む。
キリンの場合、毎週配達される計100パックがほぼ完売になる人気だ。毎日利用しているという男性社員は「満腹感が得られるのでご飯の量が減り、体重が5キロほど軽くなった」と効果を実感していた。
コンペイトウの川岸亮造社長は「当初はベンチャー企業に注目されたが、健康経営を目指す大企業にも顧客が広がってきた」と手応えを感じていた。
「おかん」(同渋谷区)はオフィスに専用冷蔵庫を貸し出し、パックに入れた総菜などを定期的に提供する「オフィスおかん」を首都圏で展開。16年から配送の頻度を減らして全国に送る「オフィスおかん便」を始めた。現在、利用する企業は北海道から九州まで広がっている。近くにコンビニやスーパーのない工場、営業所などでの利用が多いという。
海上貨物輸送を手掛けるジャパントラスト(名古屋市)は社員の要望に応えて昨年11月に導入した。福利厚生の担当者は「昼時は冷蔵庫の前に人が集まって、部署を超えたコミュニケーションが生まれている。自宅に持ち帰って食べる人もいる」と話していた。