
インヒールズ・岡田有加代表【拡大】
普通におしゃれを楽しむ人のワードローブを少しでもクリーンにしたい-。自然や労働環境に配慮したアパレル・アクセサリー製品を手掛けるINHEELS(インヒールズ、東京都渋谷区)は、完璧を求めすぎない「エシカルファッション」で若年層を中心に人気を集める。
◆「敷居を下げる」
エシカルファッションは正当な賃金と勤務時間、安全な労働環境を整える「フェアトレード」に配慮し、農薬不使用のオーガニックコットンやリサイクル素材を使って自然環境への負荷を軽減するなど、人と自然の双方に良識的な態度で生産するファッションのあり方。特に2013年4月にバングラデシュで起きた縫製工場ビル倒壊事故を機に、安価な衣料品を生産する産業構造への批判が高まり、一般にも概念が広がりはじめた。
ただ「エシカル(倫理的、道徳的)」であることの追求には果てがない。環境に負担をかけずに作ろうとすればするほど時間もコストもかかり、価格は上がる。また限られた素材の選択肢でおしゃれの幅が狭まることも、消費者に手を出しづらくさせる要因だ。
こうした中、インヒールズの岡田有加代表は「エシカルファッションの敷居を下げる」ことが同社の使命だと語る。学生でも買える価格帯と完璧なエシカルを消費者に求めないスタンスで、普及に取り組む。オーガニックコットンより安いエコ素材「テンセル」を使い、天然染めや刺繍(ししゅう)といった手間のかかるデザインをあまり用いないといった工夫で価格を抑える。