
新工場の「セグメント」生産ライン=千葉市緑区【拡大】
安藤ハザマは、建設用コンクリート部材を現場ではなく事前に工場で作る「プレキャストコンクリート(PC)」の新工場を千葉市緑区に開設した。PCは現場で接合するだけで済み、工期短縮を実現できる点が特徴。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて首都圏を中心に建設ラッシュが続いており、新工場を10月以降にフル稼働させて現場での省力化ニーズに応えていく。
新工場の敷地面積は約4万平方メートルで、柱やはりといった建築用部材と、トンネルの壁となるブロックである「セグメント」の生産を行う。それぞれの専用と共用の3つの生産ラインを導入した。同社は大井川工場(静岡県焼津市)でもPCを生産しており、新工場と合わせて2拠点から供給する体制を構築した。生産能力は約2倍となり、ゼネコンではトップクラスの能力を誇るようになった。
建築物のフロアを立ち上げる工事の場合、現場で柱やはりをつくる在来工法に比べ、PCを活用すると、工期が数分の1に短縮するケースもあり、とくに超高層物件で威力を発揮するという。その分、重機を持ち上げるなどのコストが発生するが、人件費を抑制できる。また、品質の安定化にもつながる。
建築の領域ではPCの比率はまだ低いが人手不足の中、生産性向上を目指す上で重要な役割を果たしていくのは確か。安藤ハザマの小野俊雄会長は「これから先、需要が大幅に拡大するとみている。新工場の稼働によって顧客のニーズに迅速に応えられる態勢を構築する」とした上で、「省力・省人化の技術開発拠点として進化させたい」と強調。野村俊明社長は「働き方改革が進む中、社員の知恵にも刺激を与える」と話している。