
ベトナム初の地下鉄工事で使うシールド機を紹介する清水建設国際支店ホーチミン地下鉄建設所の河合信之所長=5月25日、ホーチミン市【拡大】
政府が成長戦略の一環で官民挙げて進める「質の高いインフラ輸出」。世界で拡大する巨額のインフラ需要に日本らしい質の高さで応えるのが安倍晋三首相の描くシナリオだ。品質が高い分初期投資はかさむが、長持ちするため長期的にみると輸入国にとって安上がりで済む。中国や韓国などの新興勢力の台頭でインフラ整備の争奪戦が激化に向かう中、日本企業はどういう質で差別化を図っているのか。清水建設がベトナムで進める地下鉄工事の現場を歩くと、技術と人の両面で“日本流”の気配りが浮かび上がってきた。
ベトナムの商都ホーチミン市の中心部を5月下旬に訪れると、100年以上前に建設された市民劇場「オペラハウス」の前で地下鉄のオペラハウス駅をつくる工事が進められていた。
同市で深刻化する交通渋滞を解消する切り札の1つが、市中心部のベンタンと北東部のスオイティエンを結ぶ総延長19.7キロの「都市鉄道1号線」だ。円借款で建設され、2020年の開通を目指している。
1号線のうち、オペラハウス-バーソン駅間を中心に1.7キロの区間を担うのが、清水建設と前田建設工業の共同企業体だ。約246億円で駅舎とトンネルの工事を請け負い、14年夏に着工した。
工事現場の囲いに入ると、鉄筋や残土などを出し入れするための開口部が目に飛び込んできた。ヘルメットと安全ベストを付けて入ると汗が噴き出した。