
メイカー・ムーブメントを生んだデール・ダハティさん【拡大】
欲しいものは自分で作る。欲しがるものを作ってあげる。企業の製品化に頼らず、個人やグループなどがものを作って展示・販売するイベントが賑わっている。コンピューターや機械を使った“発明品”を見せるMaker Faire Tokyo(メイカーフェアトウキョウ)、雑貨やイラスト、ファッションなどが並ぶデザインフェスタ、キャラクターや動物のフィギュアを見せるワンダーフェスティバルなどで、どのイベントも常連のファンが訪れ、人気の出展社には行列ができる人気ぶりを見せる。ここでの評判が本格的な事業化や海外への展開に結び付くケースもあって、新しい才能を見つけ出す絶好の機会にもなっている。
ロボットが動き回り、ドローンが飛び回るコーナーがある。子どもたちが工作に取り組むテーブルがある。8月5日と6日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれたメイカーフェエアトウキョウ2017(オライリー・ジャパン主催)には、電子機器や機械装置などを使って作り上げられた品々がずらりと並んで、新しいもの好き、工作好きの人たちを集めて賑わっていた。
VR(仮想現実)の次に来ると言われ、ゲームの「ポケモンGO」にも使われているAR(拡張現実)を使った“発明”も幾つか登場。模様が描かれたキューブを吊り上げるクレーンゲームでは、専用アプリが入ったスマートフォンのカメラを通して見ると、キューブの上にキャラクターが乗っていて、自分がただのキューブを吊り上げただけではないことが分かる。百人一首の下の句だけが書かれている取り札をカメラ越しに見ると、作者が描かれた読み札に変わったり、決まり字が赤で上書きされて見えたりする百人一首ARは、初心者でも札を取りやすいような工夫がある。
筆ペンが取り付けられたアームが細かく動いて、紙の上に達筆の文字をしたためていくロボットは、印刷された文字にはない手書き風の柔らかさを出すことができる。案内状などに使ってみたくなる装置だ。1999年生まれの東出風馬さんをリーダーにして、今年2月に設立されたばかりのYOKIという集団が見せていたコミュニケーションロボット「HACO」は、画面での表示や画面からの入力に依存しないで、話しかけるようなコミュニケーションによって親しくなり、情報を返してくれるようになる。YOKIでは機械に馴れない人でも使えるロボットとして、3万円台での発売を目指している。